新米ママのありのまま(15)local_offer新米ママ
フリーライター 岸元実春
子供の笑顔は周囲の人も癒してくれる
ほっと一息つける短い秋のひと時を過ごしていると、甚大な被害をもたらした9月の台風15号が嘘のように感じられます。
関東を直撃した台風15号が到来していた時、実は、親子3人で韓国に行っていました。9日に帰国した際、ちょうど成田空港の大混乱に巻き込まれてしまいました。成田から出られる交通手段が一切断たれ、陸の孤島と化していることに呆然としました。娘もいるのでなんとかして今日中に帰りたいと復旧を願うばかりでしたが、待っても待っても運転再開の様子がなく、どんどん増えていく帰宅難民と、長くなっていくバスやタクシーの列に今日は帰れないかもしれないと諦めてしまいそうになりました。成田空港のロビーに一泊するのは避けたいと、近場のホテルを検索するのですが案の定全て満室。空港で一泊か、とため息混じりに鉄道の運行状況をこまめにチェックしていると、なんと京成線が18時に運転再開をするという情報が! 17時にその情報を見つけてすぐさま京成線のホームへ。ある程度並ぶだろうけど、今夜中には帰れるはずと淡い期待を抱いて行きました。
ところが改札付近には数百メートルにも及ぶ大行列ができていて、最後尾の列は整理されておらず、どこに並んでいいのかも分からないままとりあえず並ぶことに。運転再開の情報が入り、先頭が少し動いたものの、自分達は一切動くことができず、どれほど待てば乗れるのか皆目見当がつきませんでした。
娘がお昼寝から起きてしまい、抱っこを嫌がって列を離れてしまったり、騒いだりして周囲の目も気になり始めました。目の前に娘と同じ年ぐらいの女の子と両親が並んでいて、娘が女の子に話しかけに行きました。1つ上の子だったらしく、お姉ちゃんと呼ばれるのが嬉しくて妹みたいにかわいがってくれ、一緒に遊び始めました。お菓子を分けてくれたり、持っていた人形を貸してくれたり、並んでいる間中ずっと楽しそうに笑い声を上げながら遊んでいました。周囲の人からすれば子供の泣き声はイライラを助長させますが、どうやら笑い声は真逆の効果があるようで、ぎすぎすした雰囲気が和んだように感じられました。文句を言っていたおじさんや、疲れ切って座り込んでいた外国人観光客が笑顔になって話しかけてくれたり、私達も笑顔で4時間半並ぶことができました。
ようやく改札を通れたのは10時過ぎ。電車でお世話になった親子と別れたのですが、別れ際にハワイのお土産を下さり、本当に良いご家族と出会うことができて良かったと、不幸中の幸いを喜びました。それからなんとか終電で最寄り駅にたどり着き、自宅に着いたのは午前2時。娘は電車の中から朝までぐっすり眠って、疲れを感じていないのか翌日には元気100倍。子供の体力には驚かされます。
誰もが大変な思いをしてどんよりとした雰囲気の中、子供の元気は周りに癒しを与えるんだなということを実感する貴重な体験となりました。娘の元気な笑顔ともっと向き合って、今の時を大切にしていきたいと思うものです。