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APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」春夏秋冬つれづれノート

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ジャーナリスト 堀本和博

アゴで走ったイチロー選手、胸から走る三浦知良選手、さあスポーツの春に

1年前。世界日報(3月18日付)スポーツ面には、斜め後方の右翼フェンス際にアゴを出して走りながら体をひねって巨人・坂本勇人選手の大飛球を捕球するイチロー選手の写真が掲載されている。写真はそこまでだが、捕球直後、イチロー選手は両手でフェンスとの激突を防ぐテクニックも見せ、4万6000人の観客を沸かせたのである。

この時、イチロー選手は背番号51の45歳。米大リーグ・マリナーズの一員として7年ぶりの日本でのプレーは、3打席とも凡退したが守備では冒頭の見せ場を作った。東京ドームでアスレチックスとの開幕戦(20、21日)を前に行われた巨人とのプレシーズンゲームでの一幕である。

イチロー選手はこのあと4打数無安打に終わった21日のアスレチックス戦後に、深夜から22日にまたがる記者会見を行い、日米通算4367安打を放ち、数々の金字塔を打ち立てた現役生活から引退を表明したのである。

グラウンドから舞台に話は飛ぶが、娘役から老婆役まで見事に演じ分けた女優の杉村春子さんは、ある対談でそのコツを走る演技を例にこう語っている。「いちばん若いときは、アゴで走るんです。次は胸から、その次は膝から。最後は腰から走る」のだと。

杉村さんの話は読売新聞のコラム(編集手帳・平成29年3月1日付)から教えられたのだが、この伝でいくとイチロー選手のプレーは引退が惜しまれるほど若々しさにあふれていたのである。イチロー氏になった氏はこの春、プロ経験者が大学や高校の指導者となれる学生野球資格回復の認定者となり、球団業務(マリナーズ球団特別補佐など)のないオフシーズンに学生野球の指導ができるようになった。心底からの野球好きから将来、どんな野球人が育ってくるのか、楽しみである。

ところで、杉村さんの話から編集手帳が「バリバリの〈胸派〉」として注視したのはサッカーの”カズ”こと横浜FCの三浦知良選手。この年に50歳でJ2開幕戦に先発出場している”カズ”に「ピンチで見せる躍動の陰には、どれほどの人知れぬ摂生と精進が隠されているのだろう」と賛嘆している。”カズ”は今季53歳。J1に昇格したチームと契約更改し、自身が持つJリーグ最年長ゴール記録の更新をめざす。

自然界では虫や蛇が穴から這い出す啓蟄(5日)の春3月である。