機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から(52)

福祉のこころ 地域医療・包括ケアの現場から(52)local_offer

ケアマネジャー(介護支援専門員) 増田佳美

「福祉の仕事」は人も自分も幸せにする

私たちの周りにはたくさんの「福祉の仕事」があります。「福祉の仕事」とは高齢者や障がい者、児童、生活困窮者等の社会的援助を必要としている人々に対し手助けをする仕事です。具体的には福祉士、介護員、相談員、保育士など、精神面と身体面の両面から支えていく専門的な対人援助職です。

では、「福祉」とはどういう意味があるのでしょうか。福祉の「福」は、食べ物や着る物があって物質的に豊かな状態を表し、神様の恵みがたくさんあって幸せという意味があります。福祉の「祉」は、神様がとどまっておられる状態で、精神的な幸せという意味があります。個人的な幸せを「幸い」「幸福」、社会全体の幸せを「祉(さいわ)い「福祉」と表します。つまり「福祉の仕事」は誰かの幸せのために手助けをし、社会全体の幸せを作る仕事です。

「福祉の仕事」は、様々な生活の問題を抱えた人やその家族と向きあって支援します。人の生命・身体・生活の基盤に関わるもので、高い専門性が求められる責任のある仕事です。これまで国を支えてきた高齢者から、これからの未来を担っていく子供たちまで支援の範囲は広く、社会を守る大切な専門職です。日々の業務は多忙で、悲しいことも辛いこともありますが、それを上回る良い経験を積むことができます。誰かのために頑張り、支援がうまくいって誰かを笑顔にすることができ、「ありがとう」の言葉を受けた時には、やりがいを感じます。自分が関わった人に対し本当に必要な支援を行うことで、誰かの役に立っていることを実感しやすい仕事です。

ただ、「福祉の仕事」はきつい、しんどいといった先入観がある、賃金が安い、社会の中で評価が低いなど、課題も多く、人材不足と離職率の高さは大きな社会問題になっています。国も福祉従事者に対して処遇改善などの施策は打ち出していますが十分ではありません。それでも「福祉の仕事」を目指す人は確固たる思いを持って飛び込んできており、仕事を続けたいという声は多くあります。

「福祉の仕事」は単に収入を得るためにする仕事ではなく、やりがいがあり、社会的価値がある仕事であることを、福祉従事者からもっと発信していく必要があるのではないかと感じています。どの仕事でも言えることですが、たくさんの大変なことがあり、その中にわずかな楽しさややりがいがあって、そのわずかな出会いから「また次へ進んでいこう」という思いになるのではないでしょうか。

私自身、長年福祉職に携わっていますが、何のためにこんな仕事をしているのかと、ため息をつくことも多くあります。そういう中でも人との出会いの中で頂く一言や笑顔に励まされることが多くあります。結局、誰かの役に立つ仕事ではありますが、同時に自分自身も幸せを頂いているのだということに気づきます。

「福祉の仕事」は人も自分も幸せにする仕事です。自分が人として大きく成長できる場と感じています。