チョッとためになる健康のお話(2)local_offer健康
健康アドバイザー 上杉和彦
予防に優る医療なし
いよいよ5月8日から、新型コロナ感染症が現在の感染症法2類から5類に変更されることになりました。これは、季節性インフルエンザと同じ扱いとなりますので、マスクをしないといけない、ワクチンを打たないといけないという指導がなくなるということです。日本は憲法に緊急事態法がなく、国家的危機の際、国民の権利を強制的に制限することができません。この度のマスクにしてもワクチンにしても、あくまでも指導という形しか取れませんでした。これが良かったのか、悪かったのかわかりませんが、日本人は同調圧力に弱いので、多くの人がやっていると、ほぼ全員がやるようになります。天皇陛下や岸田首相がマスクを外したら、国民も安心して外すようになるかもしれませんね。
前号の続きです。40代以降の日本人の死亡率トップはがんですが、今なお増え続けています。ところが、アメリカでは1990年を境にがんの罹患数、死亡数が減少に転じました。そのきっかけが1977年に発表されたマクガバンレポートでした。当時、アメリカでもがんが急増し、このままいくと国家予算を破綻させてしまうということで、マクガバン上院議員に3年の歳月と莫大な予算をつけて、調査をさせました。その結果、「食習慣を変えない限り、肥満人口が増え、多くの国民ががんになる。その結果、国民医療費の増大により国家は破産する」というレポートを提出したのです。そして、彼らが理想的な食習慣として提案したのが日本食でした。それは現在の日本食ではなく、高度成長期以前の「米・雑穀・野菜・小魚・海藻などを素材とする食事」です。確かに、当時は脳血管障害がダントツの1位で、がんは心疾患と2位を争うぐらいの病気でしかありませんでした。
ここで、重要なポイントは医療機関に対して、「栄養学を無視した偏った医学」を是正させたことでした。そこで推奨したのが「ファイブ・ア・デイ運動」です。1日に5皿以上の野菜(350g)と果物(200g)を食べる運動です。今もアメリカ人は日本人よりもはるかに肥満の人が多いのですが、がんは減ってきています。ただ、アメリカと単純に比較できないところがあります。日本は世界に誇れる国民皆保険制度を取り入れたため、いつでも誰でも安価な医療費で医療を受けられるようになりました。そのお陰で日本は世界一の長寿国となっています。それは素晴らしいメリットなのですが、がん治療に限ってはそれが仇となっているのです。なぜなら、がんが発生する原因は免疫力の低下であり、その要因は、ストレス、食事、睡眠不足、運動不足であり、これを改善しない限り、がんの予防も治療も効果を発揮しないにもかかわらず、医師はそこに力を注げません。なぜなら、そういうカウンセリングをしても病院の収入にならないからです。アメリカは皆保険制度を取り入れていないため、医療費が高額で、個別に高い医療保険に入っていないと安心して治療が受けられません。ですから、高い薬よりも、予防のためにたくさん健康食品を飲みますし、民間療法が盛んで、病院も積極的に取り入れています。
「成人病」という名前を「生活習慣病」という名前に変えたのは、予防に優る医療はないからです。私も小さい頃から甘いものが大好きで、たくさん虫歯になりました。今も好きですが、定期的に歯医者に通ってクリーニングをしているので安心です。