機関誌「真の家庭」publication

APTF 公式サイト機関誌「真の家庭」人生を豊かにする金言名句(21)

人生を豊かにする金言名句(21)local_offer

ジャーナリスト 岩田 均

一病息災

年齢を重ねて中年になって、同世代の話題はまず「健康」。もう少し年齢がいくと、「病気」「介護」に移っていき、人によっては「墓」の心配も。今回は病気に関わる言葉です。

「息災で何より」という言い方は最近使われないかもしれません。ですが、「一病息災」ならば耳にする機会があるのではないでしょうか。ルーツは「無病息災」という熟語です。「息災」は仏教用語からきていて、例えば「仏の力で病気や災難をなくすこと」(学研『現代新国語辞典改訂第六版』)という意味。病気もなく無事という意味で「無病息災」になります。遅くても16世紀には使われていたようです。

時代を経て現代。”一つくらいは病気があった方が、自分の身体を注意しながら生活ができる”と考えて「一病息災」と言います。英語にも「一つの持病がある人は、自分の健康により注意を払うようになって長生きをする」という意味の言葉があり、同様の考え方をしています。

現代人は、ともすれば、暴飲暴食や夜更かしという生活スタイルになっています。「無病」はとても望めないけれど、せめて「一病」は許容して、その上で息災に過ごしたい――そんな気持ちがあるのかもしれません。

私事ですが、ある時までは難病指定されていた病気と長い付き合いをしています。主に関節に発症するのですが、それに特化したストレッチがあります。自己流も加えて20年以上続けてきました。三日坊主にならなかったのは、激痛を何度も体験して、”もう同じ痛みは味わいたくない!”と肝に銘じたからです。と、偉そうに言っていながら、疲労のあまりさぼることもあるし、忘れることも。

五十肩も経験しました。3回続きました。肩関節周囲炎とも言うそうですから関節と関係があります。2度目、3度目はストレッチを続けてどうにか乗り切ることができましたが、それは1度目に苦しんだ経験を生かせたからでした。

「無病」か「一病」かではなく、自身の身体の状態に気を配り、健康を維持するための生活習慣を続けることができる、そんな心の支え、自分を鼓舞する言葉を見つけるのは、大切だなと思います。