「家庭の日」メッセージイメージ

2012年10月の「家庭の日」メッセージ

「出生前診断」の導入は慎重に

妊婦の血液検査をしただけで、胎児がダウン症かどうか、高い精度で分かる新しい「出生前診断」が近く導入されようとしています。しかし、わが国では、毎年20万件もの人工妊娠中絶が行われ、「生命の尊厳」が軽く考えられている現実があります。

そんな中、この検査が広がったら、「命の選別」が行われて中絶をさらに増やすことになるのは間違いありません。そうした事態を防ぐには、検査を受けることのできる妊婦に厳しい条件をつけるなど、検査の導入を慎重に考える必要があります。

血液検査による出生前診断は今でも行われていますが、従来の検査では染色体異常の確率しか分かりませんでした。詳しく調べるには、流産のリスクなど、妊婦に重い負担となる羊水検査が必要で、検査の増加に対する一定の歯止めとなっています。

ところが、新しく米国で開発された検査では、妊婦の血液検査だけで胎児の異常が99%の確率で分かります。妊婦に負担がかからないだけでなく、妊娠の早い段階でできることから、検査の希望が増えることが予想されます。したがって、胎児の生命を尊重する価値観が確立していない社会で、この検査を導入することは中絶を増やすことにほかならないのです。

わが国の母体保護法は、中絶の自由を認めていません。胎児の異常を理由にした中絶も許していません。その一方で、「母体の健康」や「経済的理由」という文言が拡大解釈されて、安易な中絶が横行し、欧米諸国から「日本は本当に先進国なのか」と疑われているのが実情なのです。

逆に言えば、胎児の生命を軽く考える風潮のあるわが国において、新たな出生前診断の導入問題は生命の尊厳について社会的な合意をつくりあげる、良いきっかけになるかもしれません。胎児は人間ではないのか、生命の尊厳とは何か。国民一人ひとりがこうした問題に真正面から向き合い、社会全体が生命倫理を確立すべき時にきていると言えるでしょう。

第3日曜日は「家庭の日」

「家庭の日」は、社団法人「青少年育成国民会議」が進めてきた「家庭の日」運動に端を発し、今ではほとんどの自治体が、第3日曜日を「家庭の日」に定めています。さらに政府は11月の第3日曜日を「家族の日」、その前後1週間は「家族の週間」として定めました。この日を機会に、家族の強い絆を確認できれば、それは家族みんなへの素敵なプレゼントになるでしょう。

※APTFでは、毎月「家庭の日」に合わせ、新聞などの媒体に意見広告を出しています。