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2013年5月の「家庭の日」メッセージ

憲法論議に「家族」の視点を

憲法改正論議がかつてないほど活発となっています。かつては、国家権力から基本的人権を守るためにあるのが憲法という考え方が支配的でした。しかし、近年はそれだけではなく、国民と政府が協力し、どのような国づくりを目指すのか、それを定めた基本法という考え方に変わってきています。その観点に立った時、わが国の憲法論議でもっと前面に出てきていいはずの重要な視点があるのではないでしょうか。それは「家族」です。

わが国では現在、少子高齢化が急速に進み、人口の減少に加えて、高齢者・子供に対する虐待、離婚や自殺、孤独死の増加など、さまざまな問題が深刻化しています。国の将来を危うくするこれらの課題に共通するのは、その背景に家族の絆の弱体化があることです。逆に言えば、日本の盛衰は、家族の再建にかかっていると言っても過言ではありません。

現行憲法では、第24条で家族について触れています。しかし、それは「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有する」、あるいは「(婚姻や家族においても)個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚」しなければならないと、個人の権利の優越性を強調する観点で触れているだけです。これでは家族の絆を強くすることもできなければ、目指すべき家族の姿も見えてきません。こうした家族の危機的状況は、現憲法にその遠因があるとも言えます。

「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」と、「世界人権宣言」にあるように、社会の基本単位である家族を守るのは国家の役割です。その家族を尊重する思想が抜け落ちている現憲法は、重大な欠陥を抱えているのです。他者の人権を尊重する心も隣人愛も家族の中で育まれるのですから、人権尊重の観点からも家族の強化は重要です。

最終的に国民投票で決まる憲法改正は、国民一人ひとりが考えるべきテーマですが、憲法を自分の問題として捉える人は少なかったのではないでしょうか。憲法改正論議に、「家族」の視点を加えるならば、憲法はより身近な問題として引き寄せられるでしょう。