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2015年4月の「家庭の日」メッセージ

家庭再建で児童虐待なくそう

深刻化する子供への虐待を防止するため、「児童虐待防止法」が制定されてから、今年でちょうど15年になります。しかし、防止法ができても、虐待は増加の一途をたどっています。

警察庁のまとめによると、全国の警察が昨年1年間に、虐待を受けているとして児童相談所に通告した18歳未満の子供の数は2万8923人(前年比34%増)に上り、過去最多となりました。傷害などによる検挙件数は698件、事件の被害者となった子供の数は708人で、いずれも最多でした。命を奪われた子供も20人いました。

幼くして人生が断たれる残酷さに言葉がありません。命を奪われなくとも、本来、愛情を注いでくれるはずの親から暴力を受けて傷つく子供の心を思うと、胸が痛みます。

同時に、彼らの将来が心配です。人への信頼感を育てられないまま、親になって、虐待の加害者になるケースが少なくないからです。いわゆる”虐待の連鎖”です。

明治期に日本を訪れた外国人旅行家たちは「これほど自分の子供に喜びをおぼえる人々を見たことがない」(英国人女性イザベラ・バード)と驚きの声をもって、日本の子育て文化を賞賛しました。しかし、「社会の宝」として子供を大切にする伝統はいま失われつつあるのです。

親の貧困、地域からの孤立、夫婦不和など、虐待の原因は複雑に重なっています。政府や自治体は児童福祉司を増員して相談体制を整えるなど改善に懸命ですが、その道筋はまったく見えてきません。なぜなら、虐待の根本原因に手が付けられていないからです。戦後に社会に蔓延したゆがんだ個人主義の風潮のことです。

学校教育やメディアが個人の自由や人権を強調する半面、責任や犠牲精神を軽視する社会で成長すれば、親になった時、自分の子供に愛情を注げなくなる若者が多くなるのは当然のことでしょう。子供のために自己犠牲を惜しまないのが親、それが日本の伝統的な家族観です。

そのような親の姿を見て、他の人のために生きることの大切さを学んだ若者が親になって、また子供のために犠牲的に生きることができるのです。虐待の連鎖を断ち切る道は、その真逆にある「愛の循環」を取り戻す以外にありません。児童虐待が激増する日本は今、家庭再建に本格的に取り組む時に来ているのです。早くそこに踏み出さなければ、国の将来が危うくなるのです。