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2016年6月の「家庭の日」メッセージ

「憎悪」の芽は家庭で摘む

数年前から議論が続いてきたヘイトスピーチ(憎悪表現)解消法が先の国会で成立しました。特定の国籍、民族、宗教などに対する差別発言や脅迫まがいの言動は海外でも問題となり、これを規制する法律を制定する国は少なくありません。

日本でも規制法の必要性が叫ばれてきましたが、なかなか成立しなかったのはヘイトスピーチの定義を明確化することが難しい上に、その時々の国際情勢に触発されることも多い問題だけに「言論の自由」を抑圧したり、逆に敵対感情を激化させたりする恐れがあるからです。成立した法律が啓発・教育活動や被害者向けの相談体制の拡充などを柱としながら、罰則を設けなかったところに、この問題への対処の難しさが表れています。

しかし、たとえ表現活動であったとしても憎悪から発したものであれば解決にならないばかりか、被害者の心を深く傷つけるからこそ、ヘイトスピーチはなくさなければなりません。成立した法律が解消に繋がることを期待したいところですが、そう簡単にはいかないでしょう。それは憎悪感情をむき出しにした自己中心的な書き込みがネット上で増えているのを見れば明らかです。

ヘイトスピーチは本質的に「心」の問題です。戦後に強まった個人主義の風潮の中で、人と人との関わりが薄くなるとともに、他者への思いやりや共感する心が十分に育っていない日本人が多くなったことがヘイトスピーチの根本的原因と言えます。

したがって、他人への憎悪の芽を摘み取るためには、親子・兄弟をはじめとした家族の交わりの中で、思いやりや共感力、他者の心の痛みを感じ取る心を育むことが大切なのです。言論の自由が守られ、またコンピューターに向かえば誰の干渉も受けずに自分の感情を吐き出すことができる時代だからこそ、家庭内でエゴイズムを克服する鍛錬が必要不可欠なのです。