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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

立春の華やいだ気とともに迎える旧正月

このごろ重宝することの多いのが二十四節気である。二十四節気というのは、古代中国で冬至(太陽の運行を基準に1年のうち夜が最も長い日)を基準点に1年を24等分して気候の推移を表そうとした季節区分法である。旧暦は、太陰暦が月の運行などを基準としているため春夏秋冬の周期とズレが生まれ農耕には不便だったので、これに二十四節気の要素が取り入れて使われてきた。

そうであるから、地球が太陽をひと回りする時間を1年と定めた新暦(世界の共通暦)でも、二十四節気を併用すれば自然のリズムや伝統の行事とマッチした四季感覚の中で生活があり、何かと使い勝手がいい。

二十四節気で、1年のうちで一番寒いとされる今年の「大寒」は1月21日。この日から2週間、寒さの底をしのいで迎える節分の翌2月4日は立春である。文字通り、春が立ち、この頃から昼の時間が伸び、季節も冬から春にバトンタッチされる。木々も芽吹き始め、九州などからは梅の便りも聞かれるようになる。

春の始まりは、1年の始まりでもある。旧暦だと新年は立春に前後してあり、今年の1月1日(旧正月)は2月7日にあたる。

実は、この旧正月の方を本当の正月だとして韓国や台湾、中国、東南アジアの国々では盛大に祝うのである。そして、意外なことに、大晦日(おおみそか)から明けて迎えた新暦の新年を格別の日として初もうでや雑煮にお節のご馳走などで賑やかに祝うのは、世界広しといえども日本だけだというのである。

そういえば、イスラム教国の正月は別だし、キリスト教国の欧米は新年を迎えたようにクリスマスを盛大に祝う。また、スペインやロシアではクリスマスのような正月のような日が別にあり、子供たちはその日のプレゼントに期待をふくらませていた。

伝統行事が遠くなる社会風潮に加え、今年の正月三が日は平日ということもあるが、冬に迎える正月は、それだけで季節感の薄い、気分が削がれてしまう気がする。立春の華やいだ気とともにやってくる旧正月、旧暦の新年の祝い方を、社会全体で新たに考えていくべきではないか、と思う。