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誌上講演会

真の家庭運動推進協議会会長 大塚克己

真の愛による家庭(下)

与えて忘れる真の愛

真の愛の条件にはいろいろありますが、四つを挙げて説明しましょう。

真の愛の第一の条件は、与えることです。偽りの愛は奪うものです。愛とは相手のために尽くすことであり、自分の満足のために相手に求めるものではありません。聖書の失楽園の物語にあるように、エバを誘惑した天使長は、エバを愛したのではなく、自分の心の愛の減少感を埋めるため、エバに愛されようとしたのです。それが、人類始祖の堕落の始まりでした。相手の愛を利用しようとする愛が、間違いの始まりだったのです。

第二の条件は、与えて忘れることです。「あの時こうしてあげたじゃないの」というのは真の愛ではないのです。与えても与えても忘れるから、愛は永遠性を持つのです。

第三の条件は、相手が自分以上になるのを願うことです。同僚が自分より先に出世すると、大抵の人は素直に喜べないで、嫉妬してしまいます。「隣に蔵が立つと腹が立つ」というように、人の喜びを自分の喜びとするのは本当に難しいのです。

第四の条件は、時間空間を超えることです。今の家族だけでなく先祖や子孫にも、周りの人たちにも、公平な愛情でなければなりません。そうすると、先祖に対する崇敬の念は自然に芽生えてきます。自分が健康になるのは、より良い子孫をつくるためでもありますから、今の自分を美しくすればいいという無理なダイエットはよくありません。そして、過去・現在・未来を一つにまとめるのは真の愛以外にないのです。

永遠なる存在につながってこそ

愛によって生まれ、愛の中で育った人間は、愛に包まれて旅立って行きます。それを日本人は「お迎えが来た」と言います。とてもいい言葉です。天命を全うすれば、次に行く世界があるからです。

それが分からず、いたずらにチューブにつないで延命治療をするのは、西洋医学に依存し過ぎた現代人の不幸といえるかも知れません。そのため、愛する家族に看取られ、安らかに旅立つことが難しくなっているのです。

このように真の愛の条件を考えますと、人間を超えた永遠なる存在、神様というものを考えないと、真の愛は存在しえないことが分かります。有限な人間が永遠の愛を獲得するためには、永遠なる存在につながるしかありません。

西洋では、愛が永遠であるためには、愛の原因が永遠でなければならない、と考えました。それがキリスト教の世界です。

若い女性の美しい黒髪に引かれて結婚した男性は、その黒髪が失われたらどうなるのでしょうか。20代の時にかっこよかった男性も、30年たてば中年太りになってしまうかもしれません。愛が永遠であるためには、変わってしまう形に愛の原因を求めてはいけないのです。永遠なる愛の原因は永遠でなければならないとして、キリスト教はそこに神を考えました。神様を抜きにして永遠の愛、純愛はあり得ないとしたのです。

神というと急に宗教の話になってしまいますが、宗教でなくても神を理解できる時代に、今はなっています。現代科学は神の存在を否定したかのように思われていますが、最先端の科学者は、そうは考えていません。

遺伝子工学の世界的な権威である村上和雄先生は、「どのように考えても、宇宙の背後にはそれをデザインした存在がある」として、科学者として神とは言いにくいので、「サムシング・グレート(何か偉大なもの)」と言っています。宇宙はあまりにも良くできているので、そう考えざるを得ないというのです。

例えば、発生では精子と卵子が一つになり、受精卵の細胞分裂が始まります。やがて、ある細胞は足に、ある細胞は目にと、それぞれの部分になって体全体を形成していきます。

皆さんが細胞の一個一個だったら、どこになりたいですか。足より目のほうがいいという人が多いでしょう。不公平のように思えますが、足の細胞が目の細胞に向かって「ちょっと代われよ」と言うことはありません。それぞれ自分たちの役割を全うしているのです。どう考えても、偶然でそんなにうまくいくはずがありません。

もし、自然のすべてが偶然だとすると、明日の太陽はどの方向から昇るか、賭けをするようなことにもなりかねないでしょう。しかし、太陽が気まぐれに西から昇ってくるようなことは起こらないのです。

宇宙はデザインされている

今、アメリカでは宇宙をデザインした存在があるという、いわば神を認める科学者が増えてきています。そして、神はいないとする唯物論の科学者との間で大論争が起きているのです。

私は学生時代、共産党の学生と大論争したことがあります。私が彼に言ったのは、「宇宙のあらゆる存在はプラスとマイナス、男性と女性のようにすべてが相対的な関係になっていて、秩序をもって運行している。こんなに複雑で秩序だった世界が偶然にできるはずがない。必ず神のような存在がなければならない」ということです。

すると彼は、「ミジンコには雌しかいないじゃないか」と反論しました。私は当時、そんなことは知らなかったのですが、去年4月17日の東京新聞を見てびっくりしました。「ミジンコの雄が見つかった」と書かれていたのです(笑)。私の母校、金沢大学の神谷隆宏教授が奄美大島で発見しました。

ミジンコは2億年前に雄が全部死に、雌だけが生き残ってきたというのが150年来の学説でした。神谷教授が見つけたのは雄の成虫です。ミジンコの雄は雌の幼虫と同じ小さい形なので、それまで発見されなかったということです。ミジンコも雌のほうが大きいので、雄は苦労しているのでしょう(笑)。

宇宙はすべて相対関係になって、全体としてバランスが取られています。これは、誰かがデザインしたとしか考えられません。ところが、人間の心の中だけがバランスを失っています。それは、人間が真の愛を失ったからです。私たちは真の愛を取り戻し、真の家庭を築いていかなければなりません。それが人類歴史上の最も緊急な課題なのです。

核兵器の危機やイラク問題など世界には様々な問題がありますが、根底にあるのは家庭の問題です。真の愛のある家庭が増えていけば、世界平和は間違いなく実現します。

夫婦の魂を結ぶ祝福結婚式

キリスト教もユダヤ教、イスラム教も無神論も、家庭の問題だけは共通です。親子、夫婦の和を説かない宗教はありません。共産主義さえも家庭の大切さを教えています。真の家庭運動は宗教や思想を超え、人類普遍の運動として展開されているのです。

韓国に生まれた世界的な宗教家、文鮮明先生ご夫妻が進める真の家庭運動は、夫婦を結び直す祝福結婚式という形で今、世界に広がっています。結婚とは結魂です。精神を結び合わせる、心を一つにすることです。まだ魂の結びつきが十分でない夫婦は真の家庭運動に参加して、結魂の誓いを新たにしています。祝福結婚式・真の家庭運動は若い人たちだけではなく、年配者も夫婦がお互いに結婚の原点に帰り、永遠の夫婦として再出発をするために参加しています。

韓国で心から感動する話を聞きました。ある夫婦は毎年、結婚記念日に、1年間お世話になった人たちを招いて、妻はウエディングドレス、夫はタキシードで結婚披露宴をするのです。そして「この1年間、私たち夫婦は皆さんのお陰で何とか生きてきました。ここで私たちは夫婦の誓いを新たにして、再出発しますので、よろしくお願いします」と挨拶します。私たちもそんな夫婦でありたいと思います。

結婚式において、神仏の前で交わした夫婦の誓いは、時間の経過とともに、どうしても弱まっていくものです。その過程では、トラブルや間違いもあるでしょう。それを毎年、思いを新たにして夫婦の絆を結び直すのは素晴らしいことです。

皆さんもこの祝福結婚式・真の家庭運動に参加して、永遠の夫婦愛に結ばれた真の家庭を世界に広めていこうではありませんか。 (終わり)