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愛の知恵袋7

家庭問題トータルカウンセラー 松本雄司

幸せを呼ぶことば

何となく寒い家族

「最近、何をやっても虚しい感じがします」とその婦人は話し始めました。「夫や子供達のためにご飯を作るのもおっくうになるし、炊事や洗濯をしても疲れを感じるし、『家計の足しに』と思ってやっているパートの仕事にも意欲がわいてきません。夫も子供も不機嫌なことが多く、家の中が何となく殺伐としていて、家族みんながイライラしているといった感じなんです」と言います。

こうなると、夫婦や親子の会話も少なくなり、ちょっとしたことですぐ口げんかになって、状況はますます悪くなる…という悪循環に陥りがちです。

こんな状況になった原因は、お互いに親切にしてあげるという事がなくなったからでしょう。では、なぜ、家族に親切にしてあげられなくなったのかというと、家族の中に「感謝」という言葉が消え去ってしまったからでしょう。

家庭がこんな状況になったときの特効薬は、「ありがとう!」の一言です。

思いやりと感謝

妻が朝早くから食事の準備をし、子供の世話をし、片付け、掃除、洗濯などをする。それを当たり前だと言ってしまえばそれまでですが、夫が手伝いもしなければ、ねぎらいの一言もないということになれば、「なんてこの人は愛情のない人なんだ」と思ってしまうでしょう。夫は妻が大変そうなときには、手伝うか、せめて「いつもありがとう」「遅くまで大変だね」という優しいねぎらいの一言をかけてあげましょう。

また、夫が毎日仕事に汗を流し、家では買い物やゴミ出しや掃除を手伝ってくれる。それを当たり前と言ってしまえばそれまでですが、妻が感謝の一言もいわず、「もうちょっと早く帰ってきて、子供の面倒くらい見れないの」などと言われれば、どんな温厚な夫でもムカッとして怒りがわくでしょう。妻は夫に対して「お疲れ様」と労をねぎらい、少しでも手伝ってくれたときには「ありがとう、助かるわ」と感謝を表し、特に、給料日などは、心の底から感謝を表しましょう。

“感謝されたい”という心

どんな人間にも、心の中に「感謝されたい」という強い欲求があります。私達は人から感謝されると、なぜ嬉しいのでしょうか。

自分の努力や親切が報われたと感じ、また、自分の愛情を理解してくれたと感じるからです。そして、自分の存在価値を感じて嬉しいのです。

自分が死ぬとき、一体何人の人から「本当にありがとう」と言ってもらえるだろうか。それで自分がどの程度価値のある人生を送れたのかがわかるような気がします。

自分の家族と親戚から、仕事の同僚から、多くの友人から、そして地域社会の人々から、「ありがとう」と言われて生涯を終える事が出来たらどんなに嬉しいことでしょう。もっと大きな志で生きた人なら、多くの国民から、あるいは世界の人達から「ありがとうございました」と感謝されることでしょう。

“ありがとう”は幸せを呼ぶことば

「ありがとう」というたった一言の言葉がどれほど大きな力を持っているか、もう一度考え直してみましょう。

「サンキュウ」「ダンケシェーン」「メルシー」「謝々」「カンサミダ」…

言語は違っても、この言葉が持つ不思議な力は、私達の心を幸せにしてくれます。 「ありがとう!」と言われると、急に心が温かくなります。そう言ってくれた人が好きになるし、言われた自分も好きになれます。何となく自信がわいてきます。そして、もっともっと相手に親切にしてあげたいという気持ちが湧いてきます。

ですから、私達は友人や同僚のちょっとした親切にも、「ありがとう」をたくさん言いましょう。そして、何よりも家族同士の間で、たくさん「ありがとう」を言いましょう。この言葉が、家庭の中にどんどん増えていけばいくほど、家庭に明かりが灯り、温かいなごやかな空気が満ちあふれてくることは間違いありません。