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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

「夏河を越すうれしさよ手に草履」で涼風を

「念力のゆるめば死ぬる大暑かな」(村上鬼城)

今年の大暑は22日であるが、夏らしい夏などと言ってられないほどの暑さが続くと、新聞の第一面下コラムに念力頼みの句が登場するようになる。夏の暑さも程度の問題であるのだが、さて今年の暑さは編集手帳(読売)や天声人語(朝日)、あるいは上昇気流(世界日報)に冒頭の句を登場させるほどのものになるのかどうか?

昨年は、あの2004年を上回る記録的猛暑だった。'04年は、夜は夜で最低気温が30度以下にならない「超熱帯夜」なる新語が登場するほどに暑く、昼は昼で最高気温が35度以上の「酷暑日」が6日もあった。

それが昨年は、これを上回る暑さだった。梅雨入り前に、もう夏がきたかと思わせる暑い日が続き、早く咲き過ぎた紫陽花が梅雨半ばになると枯れ焼けた姿をさらした。8月に入るとともに梅雨明けし、再び猛暑の生けどりとなり、16日には岐阜・多治見市と埼玉・熊谷市で40.9度を観測。1933年(昭和8年)7月25日に記録した40.8度の国内最高気温を74年ぶりに更新したのである。

あの暑さにやられ熱中症で亡くなった人が全国で11人、このうち埼玉県は9人。お年寄りが大半だが、炎天下で部活動した生徒らも犠牲になっているから、決して他人ごとではない。

熱中症は、発汗などの体温調節がうまく機能しなくなり、体温が上がり過ぎて障害を起こす状態をいう。エアコンに頼り過ぎた生活で体本来の体温調節機能が弱くなっている人も要注意である。

念力(気力)は欠かせないが、くれぐれも、汗をかいたら早め早めに水分と塩分の補給をお忘れなく。

加えて、涼を呼ぶ一句も。「夏河を越すうれしさよ手に草履 与謝蕪村」。故郷の小川の冷たいせせらぎを裸足になって渡る。身も心も軽やかに「懐かし山や河、故郷よ」と口ずさんで、子供のようにはしゃぐ。その姿を思い浮かべて、涼風を呼んでいただきたい。