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誌上講演会

真の家庭運動推進協議会会長 徳野英治

家庭は愛の学校(上)

私はこれまでの7年間、海外で生活し、活動してきました。アメリカで3年間、韓国で約1年間、そしてアフリカで約3年間です。世界を多少なりとも経験した立場から、改めて日本を見てみますと、多角的な視点からその長所、短所が分かります。そうした経験を踏まえ、この国における「真の家庭運動」の必要性についてお話ししたいと思います。

世界的な家庭崩壊の危機

日本のみならず世界は家庭崩壊の危機にあると言って過言ではありません。世界的現象を象徴するかのように世界の中心国家アメリカでは近年、離婚率が高まり、家庭崩壊が進んでいます。そして、家庭崩壊に端を発する青少年犯罪の増加は、やはり日本以上です。

最も深刻な例を挙げると、複数の夫婦が集まってパーティーをしながら、酔った勢いで互いの夫や妻を交換し、性関係を持つというスワッピングが行われています。いわば乱交パーティーです。その結果、夫婦の間には複雑な愛情の不信感が生じ、離婚に発展していきます。また、父親が娘と性関係を持ったり、祖父が孫娘に手をつけるという最悪のケースもあり、家庭が分裂してしまっているのです。

こうした厳しい現実を見ると、一体家庭とは何か、夫婦とは何か、もっと根源的には男性とは何か女性とは何か、男女の愛とは一体何なのか、という問題にまでさかのぼって考えざるを得ません。

中国には5、6年前に12、3回行きましたが、そこでも離婚が急増していました。儒教の本場、孔子の国でもそうなのです。漢字や儒教は中国から来たものなので、日本人は少なからず、中国文明を尊敬していますが、その中国も世界的な風潮の例外ではありません。

アフリカでの3年間では、いろいろな国を訪れました。私が担当したのはサハラ砂漠の南にある48カ国です。日本の人たちに、私が1回だけでもアフリカに行くことをお勧めするのは、日本とあまりにも違うからです。そこにあるのは、同じ地球上の国とは思えないほどの別世界です。

かつて暗黒大陸と呼ばれたように、アフリカは今も非常に貧しい地域です。平均月収は1万円ほど、それを超える人はいい職業に就いていることになります。日に3食食べられる人は少なく、大抵は2食です。平均寿命は約50歳で、アフリカでは50を超えると長寿と言われます。衛生や医療の水準が非常に低いからです。中でもマラリアが深刻で、年間100万人がマラリアで亡くなります。HIV/エイズも極めて深刻です。そこに飢餓が加わり、幼児死亡率は、世界中のワースト5は全てアフリカの国々です。

私が活動していた西アフリカのコートジボアールでは、私たちのメンバーでも1年間に9人が亡くなりました。7人がマラリアで2人が腸チフス、そのうちの4人が残念なことに幼児です。

こういう現状を見ると、アフリカは、世界で最も豊かな国の一つである日本からは想像もできない大陸です。ところが、南アフリカはそのようなアフリカの中でも一番発展している国で、ヨハネスブルグの国際空港に着くと、これがアフリカの国かと目を疑います。

都市の姿はヨーロッパやアメリカに負けないくらいなのですが、残念なことに、アフリカの中でも南アフリカはHIVが一番深刻な国です。人口5000万の10%、500万人がHIV陽性反応を示す程で、毎日、800人がエイズで亡くなっています。その多くが若者です。政府は同性愛者の結婚を合法化しました。市内の華やかな会場では、時々男性同士、女性同士の合同結婚式が行われています。だからエイズも深刻なのです。

家庭は社会の基本単位

私たちは明確な結婚観、家庭観を持ち、それを打ち出していかないと、日本のみならず世界の未来もありません。家庭とは一体何でしょうか。人間社会の一番の基本が家庭です。家庭が集まって市民社会を形成します。市民社会が集まって国を、国が集まって世界を形成するのです。

ですから、基本単位の家庭が崩れると社会が崩れます。家庭が混乱すれば社会が混乱します。それはやがて世界の崩壊につながります。今のさまざまな社会の崩壊現象の根本にあるのは、家庭の道徳、倫理の崩壊と退廃です。それが社会全体のモラルや秩序の崩壊をもたらしているのです。

家庭は実に貴いものです。人が生まれて最初に見る大人は父母です。子供は父母を見ながら育ちます。父母がいつも愛し合い、信頼し合い、仲良くしている姿を見て、子供たちは安心し、幸せを感じます。しかし、父母がいつも喧嘩をしていて、言い争いが絶えない、最悪の場合として離婚に至ってしまうようだと、子供たちは不幸になってしまいます。

子供たちが最初に経験する父親と母親の人間関係が、人間とは信じ合える存在なのか、それともそうでないのかの意識の形成に、非常に大きな影響を及ぼすのです。父母の仲が悪いと、その家庭で育つ多くの子供は人間不信に陥ります。

兄弟がいれば、子供はその間で兄弟愛を経験します。そして、やがて異性への愛に目覚めるようになり、成人すると結婚します。家庭を持ち、自らが子供を持つことによって、親の気持ちを理解するようになります。このように、私たちは家庭生活を通して、人間としての基本的な愛情の数々を経験するのです。

生まれて最初に親の愛を受け、兄弟の中で兄弟愛を体験し、結婚して夫婦愛を知り、子供を持つことで親の愛を体験し、孫ができると祖父母の愛を経験するようになります。家庭生活を通して、人間として一番大切で、基本的な愛情を学ぶことができるのです。だから、「家庭は愛の学校」なのです。

健全な家庭は純潔から

では健全な家庭のポイントは何でしょうか。それは夫婦の愛です。子供たちにどんなに立派な説教をしても、父母の関係が良くないと、言葉は空しいものになってしまいます。喧嘩する兄弟に仲良くしなさいと言っても、「その前にお父さん、お母さんが仲良くしてください」と言われたら、父母は何も言うことができないでしょう。

夫婦とは何でしょうか。そもそも男性とは、女性とは何でしょうか。その回答を真の家庭運動の創始者である文鮮明先生が教えています。人間が男性ばかりだと、戦いが絶えないでしょう。反対に女性ばかりだと、おしゃべりが絶えないかもしれません。男性にとって女性は必要な存在であり、女性にとって男性は必要な存在です。「夫は元気で留守がいい」と言われるように、妻にとって夫はうるさくて手間のかかる存在ですが、なぜ必要なのでしょうか。

単純な理由は、男性ばかり、女性ばかりだと子供が生まれず、繁殖がないからです。人類が未来にわたり繁殖と発展を続けていくためには、どうしても男性と女性が必要なのです。

男女は思春期になると、自然と引かれ合うようになっています。女の子が男の子が気になり、男の子は女の子が気になります。だから女性は化粧をします。化粧は自分のためでもありますが、それ以上に男性のためでしょう。そのように、男性と女性は互いに必要とし合う存在なのです。

男性と女性が愛し合って結婚する上で、一番大切なものは「純潔」であると、文鮮明先生は言われています。言い換えれば「愛の純粋さ」です。

結婚前に多くの異性を経験する人ほど、愛は純粋さを失います。結婚前に複数の男性と関係した女性は、初夜の時に、夫に愛され抱きしめられても、過去の男性を思い出すかもしれません。それだけでも夫婦の愛は純粋でなくなります。夫婦の愛が純粋であるためには、より永遠性を持つためには、結婚前に異性との関係はない方がいいのです。

こういう話をするのは、今の若者に唯、頭ごなしに一方的に純潔が大事だと言っても、社会風潮の影響を受けて、なかなか通じなくなってしまったからです。そこで、いろいろな観点から、純潔の大切さを、分かりやすく、丁寧に説明する必要があります。頭ごなしではなく、共感を得ながら話すのが大人の責任です。

政治を通してインターネットなどの有害情報を規制する法律を作り、子供を守るよう国民運動を起こしていくことも必要です。それと同時に、青少年たちに、なぜ純潔が貴いのか、大切なのかを、あらゆる角度から、そして根源的な観点から、大人が責任を持って教えてあげる必要があるのです。

そして最も大切な事は、大人自身が自らの”えりを正す”という事です。自らのえりを正しつつ、その後ろ姿、即ち背中で、自らの子供たちをはじめ、青少年たちに純潔と貞操を守る事の貴さを教育してゆかなければなりません。