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誌上講演会

真の家庭運動推進協議会会長 徳野英治

家庭は愛の学校(下)

大人自身が襟を正そう

純潔を守り、健全な家庭を築いていく上で大切なことは、子供に注意する前に大人自身が襟を正すことです。

私はアフリカで27カ国を巡回し、VIPのセミナーも多く開いてきました。大統領や大臣たちとも会見してきました。ところで、アフリカでもホテルに泊まると、さまざまな誘惑があります。

ある国ではホテルのフロントのボーイが部屋に電話をしてきて、「女性が欲しいか」と聞いてきたのです。私は「必要ない、私には妻がいるから」と答えました。でも彼は引き下がらず、「今夜はあなたの妻はいないではないか。別の女性を楽しんだら」と言うのです。そこで「イエス」と答えたら、今日、壇上に上る資格はありません。そんな誘惑が時々ありました。

子供たちにポルノなどに触れないよう指導すると同時に、大人自身が純潔と貞操を守らなければなりません。その上で、若者たちに純潔の貴さを説明する必要があります。

夫婦の愛の純粋さについて、具体的に言えば、結婚式の後の初夜をより高貴で深遠な、清いものとするには、結婚前に男女関係は持たないほうがいいのです。男女の愛を清く保つためです。結婚相手にささげる最高のプレゼントは、宝石でも、高級マンションでも、ベンツの高級車でもなく、異性体験のない清い精神と肉体です。それが理想的な清い花嫁、花婿です。言うまでもなく、結婚後は、互いに貞操を守らなければなりません。

家庭崩壊の原因にはさまざまあります。経済的な事情、性格の不一致、姑との不仲などですが、離婚の大半の原因は夫婦の浮気です。健全な家庭をつくるには、絶対に浮気をしてはいけません。神と配偶者に誓って、浮気をしないように致しましょう。浮気は家庭崩壊をもたらし、やがては子供たちの犯罪にまで影響を及ぼします。犯罪を起こす少年の家庭の多くは崩壊家庭で、夫婦の愛の破綻が、少年犯罪を加速させている大きな背景的な原因となっています。

「離婚を防ぐには浮気をしないことが大切だ」というのは誰もが分かっている単純な答えですが、アメリカ社会においてはそれが守られていません。儒教の本場の中国でもそうです。韓国や日本でも近年は離婚が急増しています。ハリウッドの俳優は、多くが結婚と離婚を繰り返しています。ハリウッドは淫乱のるつぼであり、ある一面では、映画を通して淫乱の文化をも内包するアメリカ文化を全世界に繁殖しているといっても過言でありません。

家庭再建の基本は夫婦が共に貞節を守ることです。それが最も素朴ですが、最も大切なことです。

三世代同居が理想的

健全な家庭を築くには、夫婦が絶えず対話し、子供たちとも話を交わし、できれば親子三代で一緒に住むのが望ましいといえます。三世代同居は、子供の精神衛生と情操教育に、極めて重要です。日本の住宅事情や家計の事情を考えると簡単ではありませんが、そのような「三世代同居が理想的」という考え方を大切にしたいと思います。

父母に比べて、祖父母の孫に対する愛情は無条件です。目の中に入れても痛くないほどかわいい。父母たちの子供に対する愛情とは根本的に違います。子供たちにとっても、父母の愛情と祖父母の愛情とは違います。

過去の伝統や先祖の苦労、親族の人間関係などを、まず親が相続し、さらに子供たちに伝承していく。過去・現在・未来という時間の連結を持つ上で、三代が共に暮らすことに意味があります。三代が共に住んでこそ、家系を実感し、その伝統と文化を子孫に伝えることができます。

祖父母がいても会うことが少なければ孫たちにとってその存在感がありません。すると、父母を見ても、あの祖父母から父母が生まれたということが実感できません。同じように、孫がいても一緒に住まなければ、祖父母の子孫への意識も希薄になってしまいます。ですから、親子三代が共に住むのが理想的です。そうすることで血統的な意味においても家族の結びつきがより強く、深いものとなります。

「ために生きる」精神で

今日の講演の最後に、文鮮明先生が提唱しておられる素晴らしい人生哲学を紹介しましょう。それは「ために生きる」という精神です。それこそが万民が幸せになり、共に繁栄し、幸福を享受することのできる生き方です。

夫は妻のために、妻は夫のために、親は子供のために、子供は親のために、祖父母は子供と孫のために、孫は父母と祖父母のために生きるという、人生哲学のことです。先生は生徒のために、生徒は先生のために、大統領や首相は国民のために、国民は国のために、より大きな目的のために、そして相手のために生きるということです。

その反対に、自分のために生きるという自己中心主義、エゴイズムからは、平和も調和も統一も幸福も生まれてきません。

相手のために生きることを生まれて最初に体験し、実践しながら育っていく、その訓練道場が家庭なのです。家庭生活を通して、私たちはために生きることを経験し、自らを訓練しながら、それをさらに社会に展開し応用していくのです。そうすると家庭は氏族のために、氏族は地域社会のために、地域社会は国のために、国は世界のために生きるようになります。

アフリカで増す中国の存在感

5月末に横浜で開かれた第四回アフリカ開発会議(TICAD)のように、日本政府はアフリカ諸国の経済開発を支援しています。これは素晴らしいことです。ですから、アフリカでは日本に対する評価が高いのです。

しかし、残念なことに、アフリカ諸国に最も進出しているのは中国です。想像を絶するような影響力を持っています。どこの国に行っても、最初に私に声をかけてくる時には、「ニーハオ」と呼びかけてきます。私も「ニーハオ」と答えると中国人だと思われてしまいます。それくらい中国人が多いのです。

私がけげんそうな顔をして返事をしないでいると、次には「アニョハセヨ」と言われます。私が「アニョハセヨ」と答えると韓国人だと思われます。私の顔はそれでなくても韓国人のように見えるのです。

「アニョハセヨ」にもけげんそうな顔をしていると、やっとそのアフリカ人は「こんにちは」と言います。私が笑って「こんにちは」と返事すると、「ああ日本人だったんだ」という顔をします。

どの国でも、大きな建物の多くは中国の無償援助か低利の借款で建てられたものです。ですからアフリカ諸国における中国の存在感は驚くほどです。

幸い、心ある政治家は、中国の援助の裏には中国の国益にからむ明確な目的があることを分かっています。中国の影響力を強め、その国の資源を獲得し、中国製品を売ることです。その点、日本は国連の安保理への推薦を取りつけたいという意図もありつつも比較的、純粋にその国のために支援をしてきたので、高く評価されています。

しかし、日本が豊かになり過ぎたため、日本人はアフリカで生活することが難しくなっています。だから、「日本人は来てもすぐに帰ってしまう」と言われます。水道から水は出ないし、電気も通っていない、不自由なアフリカでの生活に、日本人は耐えられないのです。ある国の大臣から、「たくさんの日本人が来ましたが、すぐに帰り、日本車だけが残りました」と言われたことがあります。どの国でもたくさんの日本車が走っています。ある国では自動車の70%がトヨタです。

世界から尊敬される日本に

日本が国家的レベルで「ために生きる」精神を実践し続けたならば、世界から尊敬される国になることは間違いありません。そのような、より純化された動機で、世界の為に尽くしてゆくならば、神様も応援して、近い将来において国連安全保障理事会の常任理事国になることも夢ではないでしょう。

中国の四川大地震のような惨事が起こると、政治的状況を乗り越えて人道的に救援活動をする。アフリカの為に継続的に援助し続ける、そういう精神を国家レベルで実践し続けるなら、日本はもっと世界から尊敬される国になります。世界の平和と発展に寄与できる国となれるのです。

その「ために生きる」精神は家庭から始まります。さらには地域社会から国家、世界に至り、人類に平和と繁栄をもたらす秘訣なのです。ために生きる精神をもってさらに素晴らしい家庭と地域社会を、そして日本をつくり上げてまいりましょう。