機関誌画像

誌上講演会

真の家庭運動推進協議会会長 徳野英治

真の家庭を実現する秘訣

家族和合の中心はお母さん

家庭の問題から世界を見ると、アメリカも中国も、お隣の韓国も、そしてアフリカも深刻な状態にあります。日本はどうでしょうか。年々、離婚率が高まっています。また最近、通り魔殺人事件や家族間での殺人事件が社会を騒がせています。例えば7月22日の八王子での通り魔事件。こうした事件を挙げるだけでもきりがありません。しかし、一つの事件が社会全体を象徴しています。八王子では35歳の青年がスーパーに押し入って22歳の女性を殺害しました。その後、その青年は警察で「仕事がうまくいかなくてむしゃくしゃした。親は自分の話をきいてくれない。自分が問題を起こしてマスコミに出れば、親が自分を顧みてくれるにちがいない」と供述しました。つまり、親の関心をひくための大きなイタズラの延長であったことが分かります。彼だけではありません。多くの通り魔事件の犯人は共通して、「誰でもよかった」と言っています。秋葉原の歩行者天国で、一人の青年が17人を殺傷する事件がありました。これも同じです。犯人は「誰でもよかった」と言いました。

また、6月には埼玉県川口市で中学3年生の女の子がお父さんを殺害しました。この女の子は、ホラー漫画を相当読んでいたようです。いわゆる有害情報の影響をもろに受けています。お父さんが家族を皆殺しにする夢を見たというのです。それで自分が朝、起きた時に、お父さんを殺さなければとんでもないことになると思って、台所から包丁を持ってきて何のためらいもなくお父さんを刺しました。1月には青森の八戸市で、お母さんと弟、妹を長男が殺害して家に放火までしました。彼も同じようにホラー漫画をよく読んでいました。そして家族関係も良くありませんでした。

家庭によって私たちの人格の70%が形成されるといわれます。それほど家庭環境の影響は大きいのです。通り魔事件に代表されるような青少年犯罪、無差別殺害事件は、その根っこに家庭環境があると言わざるを得ません。そしてもう一つは社会に氾濫する有害情報。これが青少年たちに悪影響を与えています。

こうした問題を解決するためには、まず個々人の心の病理を解決しなければなりません。その根っこはどこにあるのか。家庭環境に原因があるわけです。

私たちは家庭にフォーカスして、もう一度、健全な家庭とは何か、幸せな家庭とは何か、理想の家庭とは何か、このテーマに深刻に立ち向かわなければなりません。その問題意識がなければ、さまざまな病理と言わざるを得ない犯罪を根本的に解決することはできません。なぜ家庭が大切なのでしょうか。家庭こそ社会の基本です。例えば、生まれて初めて見る人間関係は、自分の母親と父親の人間関係です。夫婦が互いに信じ合っている姿を見て育った子供は、人間不信に陥らないといわれています。しかし、お父さんとお母さんがいつも喧嘩をしていて、子供たちの前でお互いの悪口を言うような家庭では、子供たちに潜在的に人間不信が植え付けられていきます。

真の家庭を築くということは複雑なことではありません。非常に素朴なことです。まずお父さんお母さんが仲の良い夫婦となることです。今、ここにいらっしゃるお母さん方、今日からご主人の悪口を言わないと誓ってください。そしてお父さん方、浮気をしてはいけません。他の女性に手を出さない。触れないということです。これが健全な家庭をつくる上での基本です。

言うまでもなく、家庭の基本は夫婦です。夫婦がいかに信じ合い、助け合い、仲良くするか、これがどんな高尚な行為より貴く、素朴な第一歩であり、すべてと言っても過言ではありません。このファミリーフェスティバルをきっかけとして、夫婦が信じ合う、より深く愛し合う、その誓いの日としていただきたいと思います。

家庭で学ぶ愛

家庭はなぜ大事なのでしょうか。私たちが生まれて最初に受けるのは親の愛です。やがて兄弟ができれば兄弟の愛を経験します。思春期になって異性を自覚し、恋愛に目覚め、やがて結婚し、夫婦の愛を経験します。そして子供をもうけ、親の立場になって親の愛を自ら実感します。やがて孫ができれば祖父母の愛を体験します。こう考えると、家庭を通して人間が経験すべき基本的な愛、つまり親から受ける愛、兄弟愛、夫婦愛、父母の愛を家庭を通して体験します。孫を持つことで祖父母の愛も体験できます。こうした家庭で体験する愛がベースとなって、例えば自分の子供でなくても、その世代の子供たちを見れば自分の子供を愛するような情がわいてくるし、自分の妹の世代を見れば、妹を愛するような情がわいてくるようになります。つまり、家庭で培った愛情を基本として、一般の人間社会に拡大していくわけです。その意味において、私たちは家庭で愛を学ぶのです。家庭こそは「愛の学校」であると断言できます。

ところで、祖父母の愛と親の愛は違います。孫は無条件にかわいく、自分の子供を見つめる愛とは違うというのです。子供にとっても、親の愛と、おじいさん、おばあさんの愛とは違うと分かるのです。両方いれば「愛も2倍、おこづかいも2倍」というわけで、非常にわかりやすく子供たちは言ってくれます。真の家庭運動を提唱された文鮮明先生は、「理想的な家庭は、ただ夫婦が仲が良いだけでなく、親子3世代で一緒に住むことだ」と強調しています。孫、子供、祖父母と3代で一緒に生活することが子供の情操教育の上でも理想的なのです。

文先生のご家庭は、お子様が14人います。私がアフリカで活動していた時に、このことをアフリカのVIPに説明すると、必ずこう聞かれます。「何人の妻からですか?」。アフリカでは一夫多妻制の伝統があり、「一人の妻からです」と言うと皆びっくりします。文先生のご家庭の写真を見せてやっと信じてもらえるほどです。14人のお子様と、今、47人のお孫様がいます。そして、文先生はできるかぎり一緒に生活するよう努力されています。日本の住宅事情を考えると難しい面もありますが、もし可能なら、親子3代で生活することを強くお勧めします。

健全な家庭をつくる上での根本は、夫婦がいかに円満であるか、それがポイントです。例えば、長嶋茂雄元監督は国民的な英雄で、私も大好きです。また多くの国民から尊敬されていた元大関の貴ノ花親方。この二人の家庭はある週刊誌に日本を代表する理想的な夫婦と書かれたことがあります。しかし、今その末路は非常に残念なものがあります。理想といわれた夫婦も仲が悪くなり、離婚してしまうと、尊敬というより同情の対象になってしまいました。では、離婚の最大の原因は何か。統計的に見ても、性格の不一致、経済的な困窮などさまざまありますが、その最大の原因は浮気です。

では、浮気はなぜ起きるのでしょうか。その根本的原因を考えると、性の問題を取り上げざるを得ません。つまり、生殖器を正しく使わなければならないのです。文先生は、「生殖器の主人は自分ではない」と言っておられます。これは非常に重要なことです。つまり、自分の生殖器は自分のものだから自分勝手に使っていい、という考えから浮気が生まれてくるというのです。では自分の生殖器の主人は誰か。その答えは、自分の配偶者です。配偶者の許可なくして自由に使ってはいけないのです。そして大事なことは、その生殖器を開ける鍵は、互いの配偶者に預けておくことです。スペアキーはないのです。こうした明確な哲学がなければ離婚を防ぐことはできません。また、青少年にもそのことを教えなければなりません。

そして、結婚前の青少年には、純潔の貴さを教えなければなりません。結婚前に何人もの異性と関係を持つのは理想的ではありません。その場合には、愛そのものが清いものにはなり得ません。象徴的な表現をすると、結婚の時に自らの結婚相手への最高のプレゼントは何でしょうか。それは高価な指輪や車、家でしょうか。汚れなき心と体こそが、何よりも価値があるのです。

今の若者に純潔の貴さを教えるのは至難の技です。それほど社会にフリーセックスの風潮が蔓延し、青少年の心を蝕んでいます。私たちが真の家庭運動を推進する上で、結婚した後の貞節を守る貴さを訴えるとともに、結婚前の青年たちに純潔の貴さを訴えていくことが非常に大事です。その努力を大人がまずしなければなりません。特に今の若者は、押さえつけるように言っても反発するだけです。いろいろな事例を挙げながら丁寧に説明する必要があります。

「為に生きる人生哲学」を

最後に、改めて理想的な家庭を築く上で、もう一つ大きな秘訣があります。それは「為に生きる」哲学です。この考えをまず、夫婦間で、家族間で、親戚の間で、そして地域社会で、さらに広範な人間関係全般で展開していくことが大切です。夫は妻のために、妻は夫のために、親は子供のために、子供は親のために生きる。そして親族・氏族のために生きることです。このように考えて生きる人物こそが、理想的な家庭、そして理想的な社会を築く先駆者となることができるのです。

この論理を広げていけば、首相は国民のため、政党も国民のためにあるのであり、自分の党のためにあってはなりません。真に国民のためにある党こそ、政権与党にならなければなりません。私たち国民も日本国全体のために生きなければなりません。つまり、相手のみならず、より大きな次元のために、時には個を犠牲にしながら、奉仕しながら生きるという哲学が大切です。滅私奉公という考え方も大切です。もちろん、それが極端になって戦争に加担したという考えもありますが、しかし伝統的な日本の考え方にも良いものがあるのです。良い伝統は尊重しながら、間違ってしまったことに対しては率直に反省していくことが大事です。

この「為に生きる人生哲学」を通して、幸せな家庭を築き、幸せな地域社会を築き、幸せな国家を築き、そして幸せな世界を築いてまいりましょう!。