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父の子育て9

コラムニスト 大森浩一郎

社会への礼儀

私たちの生命や財産を守ってくれるのが社会だ。その社会へ礼を尽くす意味で、私たちは税金を納めている。税金が「社会への礼儀」であることを忘れた大人たちが、「オレが稼いだお金は、全部オレのものだ」と脱税に走る。

そこまでいかなくても、「あれだけ働いても、こんなに税金をとられるなんて…」と感じる人は多い。税金のムダ遣いが報道され、腹の立つこともあろう。しかし、間違っても家庭内で税金に対して愚痴をこぼしてはならない。親が社会への礼儀を失えば、子供も反社会的になってしまう。

個人的には、国会議員がテレビに出演して「役所が税金をムダ遣いしている」などと話すこともやめてほしいと思っている。むろん、間違いは正さなければならないが、子供たちに社会への不信感を抱かせるような報道は慎んでほしいものだ。

子供に「社会が守ってくれている」ということを教えるには、あいさつに限る。あいさつは、社会への礼儀の第一歩だ。

私も、子供たちには「人を見たら必ずあいさつをしなさい」と教えている。わが家は団地の1階であり、3人の子供たちが小さいころ玄関前の広場で遊ぶことが多かった。そこは団地の住民が必ず通る場所なので、子供たちは何度も何度も、「こんにちは!」とあいさつすることになる。

ある日などは、あまりにも通る人が多く、「きょうはあいさつばかりで、遊べなかったよ」と言うこともあったくらいだ。

小さな子供たちに元気よくあいさつをされて、嫌な気分になる人はいない。毎日あいさつをされれば、自然と顔も覚え、気にかけてくれるようになる。子供たちにとって、防犯にもなるのだ。

さらにうれしいことには、子供を通して近所付き合いが促進されることだ。最近では珍しくなった「おすそわけ」などもいただくようになった。あいさつという社会への礼儀を果たしてこそ、社会から保護を受けるようになるのだ。

このように、子育てにおいて「あいさつをさせる」ということは基本中の基本だが、最近ふと思うことは、「大人もあいさつをしなくなったなあ」ということだ。これではいけない。まずは大人の私たちから、率先してあいさつをしよう。