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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

山一面を燃やす紅葉、読書、ノーベル賞の秋に

山一面を燃えるように染めた紅(黄)葉の秋、実りの秋、スポーツの秋、食欲の秋といくつもの秋の顔をもつ10月は、一年の中で最も過ごしやすい季節の一つ。運動や旅行やバーベキューなど、野外で体を動かしたくなる季節である。

一方で、読書の秋も。新聞週間(15日〜21日)があり、読書週間(27日から)の始まる10月は、文字・活字文化に親しむのもいい落ちついた季節だ。

私たちは、交通手段など文明の利器を利用しても、行ける所と知ることのできることは限られている。しかし、読書で得られる知識や想像力、あるいはイメージなどは無限に広がっていく。遠い昔の時代にワープして、その歴史を見せてくれたり、行ったこともない未知の国や地域をまるで旅行してきたかのように体験もできる。

読書は、私たちを自由な”こころの旅”に押し出して、想像力を膨らませる刺激を与え、好奇心を満たし、こころをリフレッシュさせてくれる。本を読むことで私たちは知識を広げたり深めたり、時間を過去や未来に移動して、大きく広がった世界で生きるようになり、教養豊かな人間性を育てていくのである。

今の世界はインターネットの台頭が著しく、活字文化が押しやられそうだが、電子メディア画面や映像などは想像力を育むのには不向きな媒体である。人間形成において本や新聞を読むことの必要性や重要性に変わりないことを、この機会に強調しておきたい。

もうひとつ、10月は昨年4人もの日本人が受賞に輝いたノーベル賞発表の月である。昨年は物理学賞に南部陽一郎(米国籍)、小林誠、益川敏英の三氏、化学賞に下村脩氏が選ばれた。日本人のノーベル賞受賞はこれで計16人。複数の日本人の共同受賞は、これが初めてで、改めて科学の基礎研究における日本のレベルの高さを世界に印象づける快挙となったのである。

そこで今年も、と受賞が期待される科学分野の有力候補は少なくない。参考までに、その学者リスト(敬称略、カッコ内は研究分野など)を以下に記して朗報を待ちたい。

山中伸弥(iPS細胞)、浅島誠(発生生物学)、本多健一(光触媒)、藤嶋昭(光触媒)、飯島澄男(カーボンナノチューブ)、梶田隆章(ニュートリノ)、審良静男(免疫学)、遠藤章(高脂血症薬)、外村彰(ボーム効果)。

二十四節気は8日は寒露、23日は霜降。露から霜に秋が深まっていく。

「啄木鳥や落ち葉をいそぐ牧の木々」 水原 秋桜子。