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父の子育て12

コラムニスト 大森浩一郎

サンタクロースっているの?

長女が小学校二年生のとき、泣きそうな顔をしながら「サンタクロースって、本当にいるの?」と尋ねてきた。「お父さんやお母さんが、寝ている間にプレゼントを置いておくだけだよ」という噂が、学校で流れていたのだそうだ。

「良いことをたくさんすれば、サンタさんがプレゼントをくれるよ」という私の言葉を信じ、長女は毎年お手伝いに励んできた。そしてクリスマスの朝、枕元に置かれているささやかなプレゼントに、心を弾ませていた。そんな長女が「サンタクロースはいない」という噂を耳にしたのだ。たいへん悩んでいる様子であった。

100年前のアメリカに、同じように悩んだ少女がいた。彼女から投書を受けたニューヨークの新聞社は、社説で次のように答えた。

「サンタクロースなんていないというあなたのお友達は、間違っています。疑り屋は、目に見えるものしか信じません。心の狭い人たちです。この広い世界を知るには、大きな深い知恵が必要です。愛や思いやりや真心があるのと同じように、サンタクロースも確かにいます。それどころか、いつまでも死なないでしょう」

素晴らしい。このような文章を堂々と社説に掲載する新聞社があるとは、現代の日本では考えられないことだ。さすが、キリスト教が深く根付いているアメリカである。サンタクロースは、昔から子供たちの心を育んできた「大きな深い知恵」だ。そしてまた、子供たちの夢であり、希望である。大人が安易に否定してはならない。

私も、この社説をもとに自分なりの説明をした。しかし、長女から思いもよらぬ言葉が返ってきた。 「でも、寝たふりをしていた友達が、お父さんがプレゼントを置くところを見たんだって…」

お父さんは機転も利かなくてはならない。私はとっさに答えた。

「寝たふりをするなんて、悪いことをしたねえ。だからサンタさんが来なかったんだ。それで、お父さんがかわいそうに思って、プレゼントを置いたんだよ」

長女は納得して、サンタさんからプレゼントをもらうために、再びお手伝いに励んだ。