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父の子育て13

コラムニスト 大森浩一郎

良い環境には、良い出会い

ある日曜日の早朝、家族全員で近所のゴミ拾いをしていると、突然背後から声をかけられた。

「若いのに偉いねえ」

振り返ると、白髪のおばあさんが立っていた。手には竹箒を持っていた。

聞くと、このおばあさんは月曜日から土曜日までの毎朝、近所の掃除をしているのだそうだ。日曜日だけはゆっくりしたいので、休むことにしているらしい。

しかし、その日曜日はとても清々しい朝だったので、たまたま掃除に出た。そこで私たち家族と出会ったというわけである。

夫に先立たれ、独り寂しく団地の一室で暮らしていたおばあさんは、この出会いを機会に、たびたび子供たちの世話をしてくれるようになった。共働きで忙しい私たち夫婦にとって、たいへんありがたいことである。

良いこと(近所の掃除)をしたおかげで、良い人と出会うことができた。神様のお導きのようにも感じられるが、考えてみれば当たり前のことだ。

近所の掃除をしているのだから、同じく掃除をしている人に出会う確率は高くなる。近所の掃除をしていなければ、決してこのような出会いはない(確率はゼロ)。簡単な確率論である。

そして、自発的に近所の掃除をしている人は、たいてい良い人だ。良い環境には良い人がおり、悪い環境には悪い人がいる。当然だ。

それ以来、私はPTAや自治会の役員などを積極的に引き受けるようにしている。こういう役回りは、最近では引き受ける人が少ない。立候補しただけで「立派な人だ」と尊敬されるくらいだ。悲しいご時世であるが、誰かがやらねばならないのだから、積極的に引き受けようではないか。

こういった役員をやってみて感じたことは、やはり「良い環境には良い人がいる」ということ。PTAや自治会の役員を引き受ける人たちは、とても良い人ばかりであった。おかげで、家族ぐるみの良い関係を築くことができた。

「最近は悪い社会になってきた」と嘆く前に、積極的に良い環境を求めていこう。そこにはきっと良い人が集まり、子供たちを優しく育んでくれるはずだ。