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愛の知恵袋 31

家庭問題トータルカウンセラー 松本雄司

楽しい会話は、”聞き上手”から

楽しい会話ができない夫婦

「どうして、うちはうまくいかないんでしょうか。熟年離婚をする人の気持ちがよく分かります」とその奥さんは不満顔でした。話を聞いてみると、ご夫婦での会話がうまくできないので、毎日が楽しくないと言います。「どんな状態なのですか」と聞いてみると、「私が何か話しかけても、新聞やテレビのほうに気をとられていて上の空だし、たまに、話ができたと思ったら、三分もしないうちに、『要するに、何を言いたいの?』『細かいことは、いいよ』と言って遮られてしまうので、ぜんぜん話が続かないんです」ということでした。

ご主人のほうの言い分を聞いてみると、「いや、うちの家内の話は、回りくどくてね、長ったらしいんですよ。イライラするんで、つい『結論は何なの?』と言いたくなっちゃうんですよ。そうすると、『あなたって、私に関心がないのね!』と言って怒るし…。どうしてもっと簡潔明瞭に話ができないんでしょうかねぇ」と閉口気味でした。

話を聞いてくれない夫たち

このようなご夫婦は、決して珍しくありません。夫婦は長いお付き合いで、結婚生活には山あり谷あり、想像もしなかったことが次々に起こります。この世を生き抜くには嬉しいことや楽しいことよりも、むしろ辛いことや悲しいことが多いかもしれません。そうであればなおさら、夫婦の心のつながりが大切です。どんな辛いことがあっても、夫婦の心が通じ合い、信じ合っている場合は乗り越えていけるからです。

そんな心の通じ合いは、「夫婦の会話」が順調にできるかどうかにかかっています。つまり、夫と妻がお互いに本音で話ができるかどうかです。夫も妻も「楽しい会話ができたら…」と願っているはずですが、それがなかなか難しいのです。

その原因のひとつは、夫たちが「聞き上手」でないところにあるようです。

男性と女性の違いは、特に、会話能力の点で顕著です。ある学者によれば、一日に使用する単語量は、男性が平均2000語〜4000語であるのに対して、女性は6000〜8000語、つまり、3倍だといいます。

男性たちは、外で仕事をしている場合、ほぼ2000語のキャパシティーは使い切っているので、家に帰ったときは少々お疲れ気味で、「もうあまり口を利きたくない…」というくらいの心境です。

ところが、女性は”一日に6000語をしゃべらないと安らかに眠れない”というわけですから、「もっと話がしたい」「もっと聞いてほしい」という心境です。そこで、夫にいろいろと話しかけてくるのは当然です。しかも、その話が回りくどいとなると余計に夫がイライラしてしまうという悲劇になります。

女性の話が長くなる理由

では、女性の話はなぜ回りくどくなるのでしょうか? それは男性と女性では話をする動機が違うからです。

男性が話をするのは、”用件があるから”です。しかし、女性は”用件がなくても”話をします。つまり、女性は用件がある時だけではなく、”何かを共感してほしい時”や、”相手との良い関係を維持するため”に話します。一日過ごせば、嬉しかったことや悔しかったことがたくさんあります。女性はそれを自分の胸の内だけにとどめておけないのです。その思いを共感してほしくて、友人や夫に話したくなります。それがいかに悔しかったか、その”悔しさ度”を分かってもらおうと、話は登場人物から始まり、その場の状況を事細かに説明しようとするために、結局は長くなってしまいます。

ところが、男性は仕事中心の生活で、”話は簡潔明瞭に”を本分として生きています。仕事の世界では、回りくどい話はひんしゅくを買うのです。そのような習慣になじんでいる夫たちからすると、妻の話は初めのほうは何を言いたいのか分からないのでいぶかしく思い、「何の話?」「で、何を言いたいの?」とせかせてしまいがちです。そうして話の腰を折られると、妻は「ン、…も〜ぉ」と言ってプッとふくれます。

夫は”聞き上手”になろう

従って、夫婦の会話を楽しくするには、ひとつには、妻が話を簡潔にするように努力することですが、もう一つは、夫が妻の話を極力聞いてあげることです。元来、口下手といわれる男性たちが”話し上手”になるのは簡単ではありませんが、”聞き上手”になることは、それほど難しくありません。

まずは、妻の話を一日に5分でも、10分でも聞いてあげるところから始めましょう。途中で遮りたくなる衝動を抑えて、とにかく、じっと聞いてあげましょう。それが出来るようになったら、次は、話の内容に関心を示し、途中で「ふ〜ん」「そ〜お」と相づちを打ってあげ、さらに、「それで、どうなったの?」「その人、なんて言ったの?」などと適切な質問をしてあげましょう。そうすると、話はどんどん佳境に入り、”感動の結末”を迎えることができます。

そうすれば、あなたは妻からみて”話して楽しい相手”にノミネートされること請け合いです。