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父の子育て 24

コラムニスト 大森浩一郎

夫婦で育て合う

私が子供のころは、「家庭を経済的に養うことが父親の役割、子育ては母親の役割」ということが社会常識であった。しかし、今の時代にこんなことを言えば、大きな批判を受けるだろう。夫婦共働きが増え、母親だけに育児を任せる時代は終わっている。

それでも私は、「父親と母親は、子育てにおける役割が異なる」と思う。

父親は、ビジョンを示す太陽のような存在である。

母親は、すべてを受け入れる大地のような存在である。

そして子供たちは、太陽の光を受け、大地に根を張る植物のような存在である。

太陽が光り輝かなければ、植物は光合成ができない。いくら大地に根を張っていようが、酸素が作れず、他の生物を生かすことができない。つまり「真の植物」にはなり得ない。

同様に、父親が「おまえはこういう人間になるのだ!」というビジョンの光で照らしてくれなければ、子供は他者のために生きる「真の人間」にはなり得ない。

大地がすべてを受け入れなければ、植物は根付かない。もし、大地が「動物の糞尿は汚いからイヤ! ミミズは気持ち悪いからイヤ!」と拒否したらどうか。植物は大地から栄養分を受け取れずに、やせ細る。やはり「真の植物」にはなり得ない。

同様に、子供の悩み、苦しみ、失敗、罪…など、汚く醜いと感じてしまうような心の世界をも母親が受け入れなければ、子供は家庭に根付かない。やはり「真の人間」にはなり得ない。

本連載の主題は「父の子育て」である。その観点からの結論は、「父親は大きな夢をもち、子供にしっかりとしたビジョンを示せ」ということになろう。しかし、それだけでは子供が育たないことも、肝に銘じておくべきだ。たとえ子供が、一時期ビジョンから外れ、失敗したり悩んだり苦しんだりしても、すべてを許して受け入れてくれる母親が必要なのだ。

その観点からみた本連載のもう一つの結論は、妻が「すべてを許して受け入れることができる広く深い心の持ち主」になれるよう、育てていくということだ。同時に女性の皆様が「子供にビジョンを示せる夫」を育てていくべきことも付記して、筆をおく。