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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

秋の七草の一つ、芯の通った可憐な花を咲かせる河原撫子

スポーツの秋、フルーツの秋、食欲の秋、味覚の秋、実りの秋、行楽の秋、紅葉(黄)の秋、芸術の秋、そして読書の秋——などが並ぶ10月。二十四節気では寒露(9日)、霜降(24日)の晩秋となるけれど、東京だと暑すぎず寒すぎず5月とともに晴れの日の多い一年で最も過ごしやすい季節である。もう一つの名月・十三夜(9日)の月見と体育の日(10日)があり、新聞週間(15日から21日)に続いて読書週間(27日から11月9日)も始まる。

野外で体を動かし、実りを感謝して味わい、風流を楽しむとともに、新聞や本などの活字文化に親しみ改めてその大切さを見直す絶好のシーズンである。日本新聞協会が選んだ今年の新聞週間の代表標語は「上を向く 力をくれた 記事がある」(田中克則さん(32)和歌山市)が選ばれた。

新聞協会は2年前(09年)の新聞週間に合わせて、著名なIT企業の社長6人に新聞の活用法などをインタビューしてまとめた6回の企画シリーズ記事「IT社長は新聞を読んでいる!」を作成。このインターネット時代に、情報を全てインターネットから得て紙の新聞とは無縁——というイメージのIT社長だが、意外なことに毎日、いくつかの新聞から情報収集し、ビジネスに活用していることを明かしていた。

なかなか興味深い好企画で、協会も特別ウェブサイトに公開した。しかし、タイミングに合わせて記事を活用するかと思った全国紙が、ほんの一部で掲載されただけに終わったのは残念だった。ここでは、登場した何人かのIT社長(肩書は当時)の新聞についてのコメントだけをピックアップして紹介したい。

「日本の経済界、世界のビジネス界でどんなことが起きているのか、それを毎日チェックするのが新聞を読む一番の目的です」(情報配信大手インデックス・小川善美会長)

「新聞を読まない若い層には、お金だけではない人生の豊かさを感じ、人間としても奥行きと深みを身に付けることも新聞からできる、と伝えたいです」(飲食店情報の検索サイトぐるなび・久保征一郎社長)

「自分の知識の幅を広げるという意味ではネットよりも、やはり新聞だと思う。20ページもめくれば世界中のきのうが見えてくる」(化粧品情報サイト運営のアイスタイル・吉松徹郎社長)

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晩秋の王花は菊だが、今年はなでしこジャパンがW杯で金の華を咲かせた。秋の七草の一つ、芯の通った可憐な花の河原撫子(かわらなでしこ)に譲りたい。

〈撫子やそのかしこきに美しき〉 惟然