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子育て道しるべ(20)

座間保裕

高校生男子・子育て体験記

先月号では高校生女子の子育て体験記を紹介しましたが、今月は高校生男子の教育界の動きを紹介いたします。

男子教育のモデル校

以下は、東大合格者数は常にトップの東京の某男子高校の校長の言葉です。「中学時代から成長の早い女子と競わず、のびのび過ごせること」「同性の先輩を見て、早い段階から自分は何になりたいかという自己確立が可能になり、それに向かって突き進めるから」「今ほど男女別の学校が必要な時代はない」と語っています。一般的に高校時代は将来の職業に向かって進路指導、学業の習得が熱心に展開されています。そういう中にあって、この学校は文武両道において活発な体育文化活動と学業実績を納めており、一つの男子教育のモデル校となっています。

求められる人間力

それに加えて、最近は「人間力」という言葉が出るようになりました。人間性の涵養、人間的強さを建学の精神に掲げ、世の中に有能な人材を輩出しようと愛知県の大企業が設立した中高一貫の男子校は、創立6年で初めて卒業生を出し、大学受験においても優秀な結果を出していますが、何よりも「人間力」育成を看板にしているのです。また、東京の大手予備校に吸収合併された進学教室の説明会では、従来は学力一辺倒であったのが、今年からは「学力は3割で人間力が七割である」という説明会に変わり、いかに社会が人間力を重要視しているかを物語っています。そして人間としての最高の生き方を「高貴なる奉仕」と謳(うた)っているのです。

世のため人のため

ところで、人間力の核心は魂の教育であり、高貴なる志であると思います。

そこで、高校生の息子二人に関する進路決定における体験記を紹介します。おじいちゃんが工学博士の研究者であったせいか、長男は大学1年生になったらおじいちゃん譲りの電子工学に目覚めました。また母親が小学校の教員経験もあったせいか、高校生の次男は小学校の教員を目指して猛勉強中です。おじいちゃんや母親やその職業を通して、世のため、人のためになっていることを知らず知らずのうちに見て育ったわけです。ここには、単に親の職業を選択したというより、その奥にある人間性にも子供は憧れていたに違いないと思います。すなわち、選択した進路を天職にしたいという子供たちの夢であり決意だと思うのです。

男子教育の今後

長年の知育偏重教育から漸く、「人間力」という言葉に象徴されるようなIQ(Intellectual知性)以外のPQ(Physical肉体)、EQ(Emotional情緒)、SQ(Spiritual精神)の分野を社会が求め、それに対応する教育の試みがなされるようになってきました。そしてそれは戦後教育界を一世風靡(ふうび)した「全人教育」(小原邦芳)と「全一学」(森信三)の教育に大いに学ぶことができるのです。