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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

一世紀前のまま復元された東京駅舎赤レンガのライトアップの心落ちつく夜景

気がつけば、もう師走12月。光陰矢のごとしと言うように、月(陰)と日(光)の過ぎ行く早さに驚きながらも、歳末に向け慌(あわ)ただしさを増す日々に追われてあたふたとしつつ、ただ時は過ぎていく。

歳末商戦、御歳暮、忘年会、クリスマスと街は年の瀬の賑わいで活気づく一方で、冬の寒さも厳しくなる。二十四節気の冬至(21日)は、北半球で太陽の高さが最も低くなり、一年中で夜の最も長い日である。

冬至は太陽の力が最も弱くなる日だが、なぜか昔から東洋でも西洋でも、この日を重要な意味を持つ日としてきた。古代中国では、新年は冬至から始まり、新たな復活の起点としてきたし、イエス・キリストの誕生を祝う西洋のクリスマスも、冬至祭(太陽が蘇る日)が起源だと言われる。日本でも「この日に、ゆず湯に入りかぼちゃや小豆粥(がゆ)を食べ無病息災を祈ります」(「日本文化の歳時記12」サンデー世界日報09年12月6日号)というのである。

〈はじめに光があった〉。暗い夜が長くなると、人々は寒さに耐えながら明るい光を求め、そこに暖かさを感じ明日への夢と希望を見ようとするのかも。心が塞(ふさ)ぎがちな12月は、聖夜を飾るクリスマス・ツリーやイルミネーションに心が元気づけられる。

都心では今年も、丸の内仲通り、六本木ヒルズ、六本木ミッドタウン、表参道ヒルズ、新宿テラスシティ、恵比寿ガーデンプレイス、昭和記念公園などのイルミネーションスポットをLED電球や多彩光の装飾が幻想的にまばゆく輝いて明日への夢を膨らませる。

だが、これら幾多のイルミネーションを押し退ける今年の夜景の圧巻は、この10月にお目見えした東京駅丸の内駅舎のライトアップである。面出薫(めんでかおる)氏(武蔵野美大教授)によるライトアップのコンセプトは「和やかな風景」。一世紀前の開業当時(大正3年=1914年)の外観に復元されたレトロな赤レンガ駅舎やドーム屋根が、暖色系のライトアップであたたかく、やさしく、ほんのりと浮かび上がる。何とも言えない落ちついた美しさ、存在感、佇(たたず)まいを示しているのだ。

東京駅は、最初のスケールの駅舎と敷地で、その後新幹線などの線路やホームなどをいくつも新設し増やしてきたが、そのために敷地や駅舎を継ぎ足ししてきたわけではない。よく「百年の計」というが、はじめから将来を考えた巨大スペースの建設計画だったからこそ、駅舎はそのまま一世紀も存続し、今回の復元となった。先見の明を示した当時の鉄道院総裁は、関東大震災後の帝都復興計画を立案した後藤新平である。