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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

新世界を担う指導者らが親しみ睦ぶことから<森の栄え>への針路を

謹賀新年。昨年を振り返る前に、一月睦月(むつき)の解説について、最近読んだ文庫本の会話から。

「……ですが、睦月と決めました。なんと言うても一年の始まりは正月にござる。新年ゆえ、ふだん無沙汰をしている友や親類縁者が親しみ睦(むつ)ぶということから『むつび月』と呼ばれ、いつしか睦月になった謂(いわ)れがあるそうな。この子の周りには生涯大勢の人が集まり、賑やかな暮らしができましょう」

「むつび月が縮まって睦月か。なんだか色気がねえようだがな。まあ、人が集まるのはこの家だって同じだ。だからよ、人より金のほうがよくないか」

「いえ、金子は使えばなくなります。人は生涯の宝です」

佐伯泰英の時代小説『居眠り磐音(いわね)江戸双紙』シリーズの最新刊(40)『春霞の乱』(双葉文庫)の一節で、主人公の坂崎磐音が正月に生まれた娘の命名の由来を義父に説明しているところである。

さて、昨年を振り返ると、日本の総選挙と韓国の大統領選がトリとなって主要各国トップの顔ぶれが固まり、政治変革がスタートする年となった。大統領選挙などで、1月の台湾を皮切りに、フランス、ロシア、米国、中国で国家の首脳が代わったり再選されたりなどした。台湾の馬英九総統(国民党)と米国のオバマ大統領(民主党)が再選、ロシアのプーチン大統領が再登場し、新しい首脳らが加わり、今年からの世界を切り盛りしていくことになる。

もうひとつは、今年は21世紀が始まって13年目の年明けだ。20世紀に区切りをつけ21世紀を迎えるとき、新世紀は政治の改革が進み、世界の人々の生活がさらに豊かになり、世界が一層平和に進むという希望を抱いたが、この12年間は必ずしも期待通りには進まなかった。各国の大災害に加え不穏な中東情勢は続いているし、アジアも力ずくの海洋進出を隠さない中国をめぐる近隣との揉(もめ)事で不安がむしろ拡大傾向にある。

そうした中で今年は、新世紀に入っての干支(えと)がひと巡りして、仕切り直しの再スタートをする節目の年である。まずは1月が、新世界を担っていく指導者らが親しみむつぶ〈むつび月〉となり、世界がよき方向に針路をとり安國が計られるよう祈りたい。


-Profile-

■ ほりもと・かずひろ

1948年岐阜県生まれ。大阪市大中退。世界日報文化部長、社会部長、マドリード特派員、編集局次長、編集委員などを歴任。編著書に「朝日新聞に内部崩壊が始まった」(第一企画出版)、「拡材—ある“新聞拡張団”体験記」(泰流社)など。