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福祉のこころ(1)

社会福祉士、精神保健福祉士 吉山 みき

福祉の意味

「福祉」ということを一緒に考えてみたいと思います。

とかく福祉とは「生活保護」「高齢者の介護」といった、いわゆる社会的弱者のためのものというイメージをもたれる人もいらっしゃるかもしれません。「障がい者福祉」や「児童福祉」、「医療福祉」、ほかにも「健康福祉」や「家族福祉」…。

しかし、福祉の本質とは、生を受けて生活していく上で「幸せ」を感じていくことが目的です。生命、毎日のくらし、生きがいなどと直結していて、一般に理解されているような、生活に困った人のみに関係があるということではなさそうです。

ある辞書には、福祉とは「しあわせ」を意味するとし、「すべての人に等しくもたらさるべき幸福」と説明するものもあります。

私たちは、いつの日からか気がついてみれば、「幸せでありたい!」と、心に抱いています。あるいは、知人の不幸な出来事を知って、自分があたりまえに思って意識もしていなかった日々の生活が、どれほど感謝に値すべきものかという気持ちを持ったという方もいらっしゃるでしょう。

「老年学」という福祉の研究分野では、人の幸福感を測ることがあります。また、日本では政府が、「幸福度」を測る意識調査を行っており、世界各国でも実施されています。「自分で幸福度を測ってみたら、最高10、最低0とすると、どれぐらいになりますか?」というようなぐあいです。人それぞれに感じ方が異なるのは当然ですので、幸福感の主観的な評価ということになります。また、「生きがい意識尺度(ikigai 9)」では、「自分の存在は、何かのためか誰かのために必要だと思う」、「自分は何か他人や社会のために役立っていると思う」などの項目があります。

一方、人間性心理学の「マズローの法則」ともいわれる欲求段階説では、段階に境界線があるわけではなく、また、すべての人に当てはまるわけではありませんが、①生理的欲求(生命維持に関する食欲等)→②安全欲求(安全・安心な暮らし)→③社会的欲求(人間関係・集団に属する)→④尊厳欲求(尊敬・評価される)を経て、⑤自己実現欲求(※晩年には6段階目として自己超越があると発表)に至ると述べられています。

こうしてみると、幸せな暮らしとか、生きがいは、自分のためにだけ生きるのではなく、他者との関わりの中で他の為に生きることと切り離せないようです。

さて、福祉では、よく「共に生きる」ということを言います。障がいがあってもなくても、共に生きて、共に暮らせる社会を創りましょう、と。しかし、私たちは、単に同情するとか、自立心を育てることなく無条件に公助を受けられるようにするといったことだけではないと考えるのです。

次回から、福祉に関係して働く方々に、現場からのお話を伝えてもらうことにしています。すべての人が幸せに生きられるようにと願う時、私たちは、日常生活の中でどのような「気づき」をしたらよいのでしょう。どうしたら共に生きるという「福祉の心」が持てるのでしょうか…。

本欄は、TLSC(True Life Support Center:トゥルーライフ・サポートセンター)のメンバーが交替で執筆するものです。

TLSCは、医療・福祉の専門家有志が、人類一家族の理想実現を医療・福祉分野の視点から研究し運営しています。