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福祉のこころ(3)

主任介護支援専門員 栗原 なおみ

人とのつながりを大切に

私が地域福祉に従事するようになったのは、以前に訪問看護をしていたことがきっかけです。当時、家族(介護者)は自分の体調を崩してまで介護することが少なくありませんでした。

しかし、介護保険制度が始まってからは、数種の在宅サービスが利用できるようになり、介護者の身体的疲労は軽減されるのですが、精神的疲労の軽減にはなっていないことなどを感じていました。介護者がほかの家族や親戚との間で気持ちを分かち合えたらよいのですが、そのようなケースは多くありませんでした。嫁や、妻一人が介護者であったりします。そのような中で、家族介護者同士で困難や情報を共有できるような「家族介護者の集い」といったものを立ち上げたいと思っていたのです。(現在、家族介護者の会はあります)

私は今、地域包括支援センターの主任ケアマネージャーをしています。地域包括では、介護保険サービスを利用したい高齢者のために申請の手伝いをする一方、介護保険を利用せずに元気で過ごしたい人のために、体操教室、栄養口腔ケア教室、物忘れ予防教室、趣味活動等の支援や訪問活動をしています。

地域では、ボランティアで高齢者の見守り活動をする方々がたくさんおられます。また、高齢者同士の見守り活動や民生委員を中心とする活動もありますが、高齢者が独居となられた場合、一人での生活を維持するには近所の方の見守りや声かけがとても大切です。

例えば、一人での生活ができる限界は、ゴミ出しができるかできないかにある場合など。ちょっとごみ出しを手伝ってもらえれば生活できる高齢者はかなりいらっしゃいます。そして、お手伝いをする際、自分の親に対するような声かけが、高齢者には安心感を与えるようです。一方、高齢者からのお話は私たちの心を温かくしてもくださいます。そんな小さなお手伝いをと願って、地域福祉のお仕事に感謝して従事しています。

さて、今私が課題に感じているのは、認知症になった一人暮らしの高齢者です。地域住民からの通報や、病院から自宅退院する方の生活相談の問い合わせなどがあったり、「郵便局でお金が下ろせないで困っている」、「一人で動けない」などの情報が入ると、私たちは、すぐに自宅などに出向いていきます。

また、高齢者のほとんどの方は、「最後まで自宅で暮らしたい」と言われます。その場合、行政や地域福祉関係者、近隣の方の協力、家族の介護力をマネジメントさせていただき、少しでも長く暮らしていけるよう調整しています。

ところが、認知症高齢者の中には介護保険の利用を勧めても拒む人もいます。利用者本位と謳われる介護保険ですが、ご本人の意思を尊重することが難しい場合もあるのは事実です。

こうしたケースのほか、多くの課題を抱えていても、地域で支えてくれる人々は、笑顔でいきいきと地域高齢者のために力を注いでくださっています。私にはその気持ちが伝わってくるのです。人として誰にもある良心(本心)から湧き出てくる感情なのでしょうか。私もその笑顔に支えられています。

今後も、地域の人と人とのつながりを大切にしながら、お互いに助け合える関係や仕組みが前進できるように努めていきます。