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春夏秋冬つれづれノート

ジャーナリスト 堀本和博

春の盛り、生命輝き、見頃となったさくらに心躍らせる季節に

春の盛り、見頃となったさくらに心躍らせる季節の到来である。うれしいことに、今年は「お花見が楽しめる見頃期間は、関東から九州で4月の入学式の頃に重なる所が多く、東北地方の名所は、南部で4月下旬、北部ではゴールデンウィークの頃になりそう」(「さくらで元気プロジェクト2013」が2月20日に発表した予想)だという。全国トップの開花は宮崎(3月20日)、東京(靖国神社の標本木)が3月26日で、見頃期間が東京・上野公園で4月5日から12日頃(開花は3月25日)という予想である。

季節と自然の変化は、1年を春夏秋冬の4つの季節に分けた四季があり、四季を6等分して24に分けたのが二十四節気(にじゅうしせっき)で分かる。先月号では啓蟄(けいちつ)や春分について触れたように、本欄でも時々言及してきた。

二十四節気をさらに3等分して、1年を72に分けて約5日ごとに季節の細やかな変化を捉えたのが七十二候(しちじゅうにこう)だが、こちらはそんなに多くは使ってこなかった。季節の変化と生活についてそこまでこだわってもと思ったからだが、東日本大震災以降、旧暦の基本単位である七十二候が注目を集めているという。

例えば、昨年2月に発刊された七十二候の解説本『日本の七十二候を楽しむ—旧暦のある暮らし—』(東邦出版)は、1年で20万部を超える大ヒットとなった。著者の白井明大(あけひろ)氏は詩人だけに、瑞々しい感性で候の花や鳥、草木や虫などの詩歌や行事、旬の野菜、山菜、魚介などをイラストレーター・有賀一広氏の細密な挿絵とともに紹介するのだが、解説本特有の堅苦しさは皆無。まるで絵を見ているように気楽に読めて飽きない上に楽しいし、それでいて教えられる。

二十四節気に七十二候は三つずつあるが、節気ごとに順に初候、次候、末候と紹介されている。桜の開花は、七十二候では春分(3月20日)の次候「桜始めて開く」で、「新暦では、およそ3月25日〜29日ごろ」。そして、草花は、たくさんの白い花を梢に咲かせるこぶし、味覚は桜餅、魚介はさくらえび、野菜はアスパラガス、行事は吉野花会式(よしのはなえしき)とそれぞれの旬の顔が多彩に登場する。

桜

今年の桜の開花は、冒頭の元気プロジェクトの予想と七十二候の時期が見事に一致して、生命輝く季節の到来をいう二十四節気の清明(せいめい)(4月5日)から見頃となる。厳冬が長引き梅の開花はかなり遅れたが、啓蟄(3月5日)から一気に暖かくなり、さくらシーズンの方は急ピッチで花盛りに。4月の新年度、入学(社)式ごろともぴったり合わせてきて、めでたいこと、この上ないのである。

〈咲き満ちてこぼるる花もなかりけり〉高浜虚子