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親育て子育て(7)

ジャーナリスト 石田 香

同じ体験をもつ親たちと語り合う

一人で悩んでいないで同じ事情の親たちの話を聞き、話すことが解決の力になる

子の心親知らず

「親の心子知らず」と言われるように、昔から親が子を思う心を子供は知らないとされてきました。でも、いろいろ子育てを体験してみると、親のほうが子供の心に気づかないでいることが多いと言えます。どうすれば、親は子供の心を理解することができるのでしょうか。

例えば、同じような事情の親たちの会に参加して、体験を語り合うことも、解決に向けての効果的な方法の一つです。専門のカウンセラーが同席する会であれば、安心して参加することができます。いろいろな子育てのNPOなどがありますから、市役所や教育委員会に問い合わせてみることです。

そうした会に初めて参加する親は、自分の抱えている問題の原因を知りたがります。わが子はなぜ「学校に行かないのか」「一歩も外に出ようとしないのか」「一言も話してくれないのか」「親の言うことを聞かないのか」など。その原因さえ分かれば、それを取り除くためにどんな犠牲も払おうと決意しているのです。

そうした親は、既に問題の半分を解決していると言っても過言ではありません。自分が駄目な親と思われても、家庭の恥をさらしても、子供さえよくなるのならと会に出てきているからです。

安心して話せる親に

不登校の子供が元気を取り戻すと、学校や社会に復帰する直前、これまで心の底にしまいこんでいたことを吐き出すようになります。

「ぼくが小さかったころ、お母さんはぼくの気持ちを無視して、ああしろ、こうしろと言っていた」「わたしの気持ちなんか、ちっとも考えてくれなかった」「本当に困っているときに助けてくれなかった」などなど……。

子供がそんなことを言いだすのは、やっと自分の本当の気持ちを言えるようになったからです。親の側も、安心して話せる親になったといえます。親が自分を責めて苦しんでいるままだと、子供は「自分のせいで親が苦しんでいる。自分がいない方がいいのではないか」と思い、それがストレスになってしまいます。

幼児は親の言葉を真似しながら言葉を覚えていくので、繰り返し質問するように、盛んにおしゃべりするものです。それが、心が次第に成長して、自分と他人の区別がつき、人の心が分かるようになると、親や友達など相手のことを気遣うようになります。

そうなったとき、母親が仕事で忙しかったり、疲れていたり、夫や姑などとの人間関係で葛藤していたりすると、子供はそれを敏感に感じて、話し掛けるのを自分で抑えるようになります。

優しくて感受性の強い子ほど、親の事情を敏感に感じ取り、自分が我慢すればいいんだと話すのをあきらめてしまうのです。本来、まだまだ親の愛を受けなければならない時期に、自分からそのチャンスを逃してしまうことになります。

一方、親の事情や気持ちを思いやらない子は、親がどんなに疲れていても自分のしてほしいことをどんどん言ってきて、願いがかなうまで言い続けます。その結果、親の愛を十分に受けるようになるのです。特に性格の異なる兄弟を育てるときは、気をつける必要があります。

心の休まる家庭づくり

そうした会が守っているのは、子供の問題で負い目を感じている親を、責めないことです。むしろ、同じ事情の人がいることで安心できるようにします。少しゆとりができると、カウンセラーの話や同じ問題を抱えた母親たちの話を聞き、自分と子供とのかかわりを話していく中で、次第に何が問題だったのか理解できるようになります。

カウンセラーは具体的なケースに応じて、「気が済むまで休ませたらいい」「一緒に料理を作ったら」「お父さんに遊びに連れ出してもらえば」などとアドバイスします。その中から、自分でも納得でき、できそうなことを実行することになります。

子供にとって親や家庭は本来、一番心の休まるところですから、まず親はわが家がそんな憩(いこ)いの場になっているかどうか、見直してみる必要があります。すぐに解決できなくても、最低限、自分が子供に接する時は、ゆったり構えるようにします。口癖のようになっている「早くしなさい」「何してるの」などを言わないことです。

親に安心できる雰囲気や、子供の気持ちを理解しようという姿勢があれば、次第に子供は話をするようになります。子供が話をしないのは親が聞こうとしないからで、思春期の男の子は親に話をしないものというのも固定観念です。

話を聞くコツは、子供が話し始めたら最後まで聞くこと、途中で言葉を挟んだり、親の意見を言ったりしないことです。口で「何でも話して」と言いながら、目が「早く学校へ行ったらいいのに」と言っていたり、しぐさや動作に心が表れたりしたら、子供は敏感に感じ取り、「まだ話せないな」と思います。心の底から、子供の本当の気持ちを理解したいと思うことが大切です。