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福祉のこころ(8)

山川軒正

母子家庭の少年指導員として

私は青少年(補導)センターの少年指導員(補導員)の仕事に限界を感じ、「母子生活支援施設」という児童福祉施設へ転職し、その施設に住む母子家庭の子供たちをみています。

かつて少年指導員をしていたときは、市内を車や徒歩で巡回し、学校を怠けている子供たちや未成年者に声掛けをして、学校へつないだり、児童相談所と連携をとって福祉的な支援をしたり、未成年の喫煙者や飲酒者への指導、時には自宅へ訪問して相談などしていました。

一見怖そうな雰囲気の子供たちも、話しかけてみると意外と素直で、いろいろと話をしてくれます。そんな話の中で伝わってくるものは、何か寂しいものを持っていて、そのために群れているということが多いのです。ゲームセンターで夜遅くまでゲームに没頭している子たちに「もう、遅いから帰ろうね」と言うと、「帰っても誰もいないし……」というように、帰るべき家庭がない、あるいは、家庭が機能していない場合が多いのです。

問題は、単に彼らがその場からいなくなればいいという問題ではなく、その子の背後の環境的な部分に根本的な問題があるわけです。

地域の環境を良くしていくことは大切なのですが、捉え方を間違うと一方的な「厄介者は排除」の発想になることがあります。ある時、公園にホームレスがいるので、女性にとっては怖いし、子供たちも何をされるかわからないから何とかしようと、警察や市の職員も駆り出して、その人を追い出してしまったということがありました。

その人がなぜ公園に住み着いているのか、どういう経緯でそうなったのか、帰る場所はあるのか、知り合いや親戚はいないのかなど、だれも確認しませんでした。

現在、私が関わって支援する対象の母子家庭の母親には、かつて路上で指導した女子もいました。母親といっても、まだ大人になりきっていないという感じですから、ゆとりもなく、職員がフォローし、保育、学童保育、勉強の指導などを補ってあげるわけです。状況によっては母親を指導しなければならないこともあります。ただ、母子家庭は収入が厳しく、この施設の場合、2年で退所しなければいけないこともあって、母親を就労へつなげることが大きな課題でもあります。

ところで、家庭を支えてくれる地域や知り合い、親戚等の支援があればいいのですが、施設に入ってくるという時点で、それら支援者があまりいない厳しい状況になっていることがほとんどです。母子生活支援施設は、福祉施設の中でも、唯一、家庭という単位で入所する施設であるため、その家庭のいろいろな面が見えてきます。

母親に精神的疾患がある場合は、子供を育てることが難しく、その子供も影響を受けるため、地域での生活は難しく、母子分離させていくこともあります。子供は児童養護施設に入り、母親が治癒してから、家庭に戻していきます。母親に知的な障害がある場合は、もっと長期的な視点が必要です。子供に生活力などを身につけさせてから地域へ返していく方法も採ります。子供が小さい場合には、中高生などの年限まで施設で見ていくべきであるとの方法もあります。

最近は、家庭内暴力の犠牲となって入所してくるケースも多くなっており、家庭愛の大切さを見直さなければならない時であると強く感じています。