機関誌画像

特別メッセージ

真の家庭運動推進協議会会長 徳野 英治

9月16日、名古屋での有識者懇親晩餐会で語った講演内容の抜粋を今月と来月の2回に分けて掲載します。

環太平洋時代、アジアと日本(前編)

写真1

私は海外生活が長かったため、その体験を踏まえながら、世界の中での日本の位置について申し上げたいと思います。私は世界の縮図である米国で3年間神学と英語を勉強しました。次に7か月間韓国で韓国語の勉強をした後、約3年間アフリカ53か国を担当し、そのうち27か国を訪問し活動しました。アフリカの貧しさは想像を絶するものがあります。アフリカで最大の人口1億4000万人を抱えるナイジェリアでセミナーを終え、空港へ向かう途中10人のギャングに遭遇しました。目的はお金だったのですが、40分〜50分やりとりした挙げ句、日本円で500円を要求されたのです。その際、幸いにも生命を失うことはありませんでした。あまりの貧しさに私は本当に驚きました。

その後中国、ロシア、モンゴルで活動して、様々考えるところがありました。ロシアは人口1億4000万人で、ほぼ日本と同じですが、面積は45倍です。ロシアに行って痛感したことは、唯一地球上で東洋と西洋にまたがっている国であり、本当に大きいということです。成田とモスクワを何度も行き来しました。飛行時間は約10時間ですが、1時間半くらいは北朝鮮、中国上空を飛び、残り8時間半はずーっとロシア上空で、下界の風景は全く変わりません。人口は日本とほぼ同じでありながら国土は45倍ですから、日本の感覚からいうと、人が住んでいないのではないかと言っても過言ではない、それくらい膨大な広さを持った国です。いったいどれくらい寒いのか、シベリアのヤクーツクという都市の一番寒い時の温度はマイナス65度です。冬の場合は到底、外では活動できません。中でじーっとしているしかないのです。ロシア人は本当に肌が白く、スタイルも抜群で美男美女が多く、また、なによりも身長が高い。私たちの運動のモスクワの責任者の身長が194センチです。私はいつも挨拶をするとき劣等感を感じます。ハバロフスクとウラジオストックの極東地域の責任者の身長は2メートル5センチです。私はリトアニアという国に行きましたけれども、20歳以上の青年の平均身長が181センチと聞き、本当かと思っていましたが、その国に行ってみると本当でした。そのような経験を通しながらつくづく思うことは、世界は広く多種多様だということです。そこで、日本が世界で生き残るべく、今こそ取り組むべき5つの課題というものをお話ししたいと思います。

日本が取り組むべき5つの課題

写真2

1番目は政治の安定性です。アフリカ大陸で大統領や大臣に会いながら、こうハッキリ言われました。「日本は先進国でありながら、毎年首相が代わり政治が不安定ですね。これでは国際政治においては信用がおけないですよ。何とかならないんですか?」。私は日本人として非常に恥ずかしい気持ちになりました。やはり国際政治で一定の発言力を持つ日本になるためには政治が安定しなければなりません。これが日本が取り組むべき第1の課題であると申し上げることができます。

2番目は経済の再建です。いわゆるアベノミクスの3本の矢。第1の矢である金融緩和は成功したと言えるでしょう。第2の矢である財政出動、これも真剣に取り組んでいると思います。ただ第3の矢である成長戦略はまだまだ定着してはいません。少なくとも中小企業の経営者から景気が回復したという生の声がまだ十分に届いていません。成長戦略はまだまだ浸透しきっていないのですが、この度の2020年東京オリンピック開催決定により、明確なわかりやすい目標を持ちましたので、明るい雰囲気ができあがってきたことは事実です。

そして3番目は安全保障です。近年における国際政治の大きな変化を一言で申し上げれば、パクス・アメリカーナの時代が終わったと断言しても過言ではない状況となりました。その分かりやすい例がこの度のCIA元情報部員のスノーデン事件です。彼は香港で捕まり、米国が中国政府に対し、すぐ米国へ送還するように迫りましたが中国の答えはNOでした。そしていつの間にかロシアに送還され、ロシアの答えも同じくNOでした。NOと言われたら米国は何も言えない現状です。また、1つの分かりやすい指標として、1年間のエネルギーの総消費量でみますと、過去100年間米国が世界のトップでしたが、2010年より中国がトップになりました。自動車の販売台数をはじめ、他の指標も中国へとトップの座を譲り渡し、塗り替えられてしまいました。

今や米中の力関係がほぼ同等になってしまい、中国の発言権は非常に強くなりました。もちろんロシアも同様です。これから約10年間プーチン時代といわれています。プーチン大統領はこの度のシリアの問題に対してもアメリカにNOと言いました。戦争を避け、化学兵器が国連の管理下に置かれるのであれば、この解決策は理想的であると言わざるを得ませんが、ロシアの打ち出した方向性に最終的には国連も動かざるを得なくなってしまったことは事実です。結論的にはアメリカの指導力が相対的に低下しているということなのです。

健全な愛国心教育と国際性のバランス

今後は、日米安保にだけ依存しているような安全保障の感覚は古いということです。アメリカとさえうまくやっておけば、日本の安全は大丈夫だという時代は終わってしまいました。やはり、自分の国は自分で守るという自衛意識をしっかり持たなければならない。私はここではっきりと愛国心そのものは必要であり、健全な愛国心をこれから青少年に教育しなければならないと考えます。ただし間違ってはいけないことは、日本だけの国粋的な考え方ではなくて、日本はアジアの為に、そして日本は世界の為にという愛国心プラス国際性、グローバリズムにつながる意味での健全な愛国心教育を今こそ本格的に若者たちにすべきであると、私は訴えたいのであります。 (つづく)