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福祉のこころ(12)

会社員 田松 初美

福祉の道を歩んで

私たち夫婦は社員と共に、福祉用具の販売・レンタル、商品のメンテナンス・消毒、商品開発を事業とし20年営んでいます。

福祉用具の定義は「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具」とされています。(平成12年版、「障害者白書」)

思い浮かべられる福祉用具が幾つかあると思いますが、「日常生活を補助する物」という以上、生活用具の全てです。耳が聞こえにくくなれば補聴器、視力を補うための眼鏡・拡大読書器、声を失った方へ人工咽頭、使いやすい食器具、入浴介助のためにシャワーチェア、歩行支援のためには杖、歩行器、車いす、手摺(てす)りなども必要となります。

皆が「元気に加齢」といけばよいのですが、介護の長期化、寝たきりや認知症の増加は「介護は家族の問題」と片付けるわけにはいかなくなり、行政は、平成12年に介護保険導入に至りました。この制度は、福祉用具にも種類の豊かさ、デザインの良さ、機能性向上など、大きな変化をもたらしました。

しかし、私たちの根底にあるべきは、人を見る眼の重要性です。つまり、日々進化する様々な福祉用具の特徴、使い方、メンテナンスの仕方を理解することは勿論ですが、同時に、用具を使われるご本人と、そのご家族関係、住環境、時には経済状況までをも判断し、心で感じなくては適正な提案をすることはできません。

例えば、紙おむつはいろいろと販売されていますが、幼児とは違い、大人は体形差があり、紙おむつの当て方が平均して困難です。横漏れや夜中の交換のことで介助者からのご相談の多い商品です。わが社では、「おむつフィッター」の有資格者を配置し、細やかに対応しています。

10数年前のことでした。「私は緑色が好きだわ」とあざやかな緑シートの車いすを注文された奥様は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症されていました。今では寝たきりですが意思伝達装置で会話し、ご家族が毎月ご来店されます。ご本人もご家族も頑張っておられるので、心に残る方々です。

靴も、足に浮腫のある方や補装具を付けた方にとっては一苦労するものです。本当に販売が難しくて投げ出したくなるような時もありましたが、最近は以前に比べ、パーツオーダーで、自分に合うサイズを選べるよう進歩しています。幅調整、高さ調整、靴底変更、片足販売も可能です。左右サイズ違いの靴を購入されたお客様の一人は片麻痺で家にこもりがちでしたが、「これで大好きな庭仕事ができる」と、何足もご注文され、その度にこちらも嬉しくなります。

このように福祉用具は自分の身体の一部となり、人生の時間を共に過ごすものです。用具が人間の可能性を広げ、自立につながるものであってほしいといつも願っています。

わが社の経営理念である、”確かな技術とやさしい心で福祉用具を取り扱いお客様と生きる喜びを分かちあいます””地域に愛され為に生きる精神で安全・安心・快適な生活を提供致します”を柱に、これからも福祉用具の提供にこだわっていこうと思います。

その先の笑顔を信じ、幸せを感じていただけますようにと祈りつつ。