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特別メッセージ

真の家庭運動推進協議会会長 徳野 英治

前号に引き続き、徳野英治会長が9月16日、名古屋において有識者懇親晩餐会で語った講演内容の抜粋の後編を掲載します。

環太平洋時代、アジアと日本(後編)

教育の再建と家庭の再建

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日本が取り組むべき5つの課題の第1は政治の安定であり、2番目は経済の安定と再建であり、3番目は安全保障の再建です。そして4番目が教育の再建です。

日本はこれだけ豊かな国でありながら自殺率は非常に高いわけです。日本は国連加盟193か国の中で自殺率は第8位です。過去14年間、年間自殺者数が3万人を超えています。若者たちを中心として今こそ人生とは何か、人生の目的とは何か、人生の価値は何なのかを本当に大人が先頭に立って、真剣に未来の日本を担う若者たちに教えなければならない。つまり根本的な教育のやり直し、教育の再建が必要であるということです。結論的に申し上げればポスト教育勅語。教育勅語の時代に合わない部分に関しては改善して、”教育方針のバイブル”がなければならない。日本にはこれがないのです。

昨年は自殺者の合計が、3万人を少し切りましたが、内訳としては若い世代の自殺者がむしろ多くなっています。今こそ私たちは教育のバイブルとしてのポスト教育勅語、これをはっきりと打ち出して、学校の中で道徳教育、人格教育などを根本的にやり直さなければならないと思うのです。

そして5番目は家庭の再建です。私は米国に3年間おりまして、その素晴らしさを見て参りました。それが法の下の平等であり、アメリカンドリームといわれる誰でも、努力すれば報われる国柄です。また、創造性を本当に大切にする国でもあります。例えば「あなたがこの市の市長だったらどんなプランを打ち出しますか」。これがある一つの小学校の1年生の夏休みの宿題です。私はびっくりしました。もちろん親が相当手伝うそうですが、それくらいオリジナリティ、創造性を大切にする国なのです。だからこそ米国は世界ナンバーワンの大国になったのだと思いました。

米国の致命傷

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しかし、もう一面米国の致命傷を見ました。第1点は同性愛が日本社会では想像できないくらいはびこっています。20年ほど前にボストンに行った時、青年達が「我々の権利を認めろ、参政権を認めろ、結婚を認めろ!」と叫んでいるのです。そのプラカードを見ながらどういう団体なのかがだんだんわかってきました。そこでシュプレヒコールをあげていた若者たちはいわゆる同性愛者たちです。叫びながら時々、男性同士、女性同士、彼らは抱き合ったりキスしたりしながらデモをやっているわけです。私は目を疑いました。これが米国の姿なのか! そのデモの数が2万人です。こんなに深刻とは思いませんでした。

つい先日も最高裁で同性愛の結婚が改めて合法であると認められました。もはや同性愛の結婚に対して誰も文句が言えないような社会的風潮が改めてできつつあるのです。その決定が成された時オバマ大統領は何と言ったでしょうか。「これは歴史的なことだ」とそのこと自体に意味を見出すような発言をしてしまっているのです。

第2点が離婚率の高さです。米国は世界第4位です。第1位はロシア、第2位はウクライナ。第3位がベラルーシ。イギリスが15位。ドイツが17位。フランスが22位。日本が16位。先進国は押し並べて高い。ただ、離婚という問題によって犠牲になるのは子供たちです。これは間違いないのです。大人の事情でお父さん、お母さんがいろいろと長い間議論をして最後に離婚に至ったとしましょう。そこで子供たちを集めて「一郎来なさい。お父さん、お母さんは悩んだ末に離婚することに決めた。ところでお前はどっちについていくか? 父さんか、母さんか」。こういう質問をせざるを得ないでしょう。「次に次郎、花子、お前はどうだ?」。こういう質問をされた子供たちは幸せでしょうか。どう考えても幸せとは言えない。離婚は大人の事情であり、やむを得ない現象であろうけれども、少なくとも子供たちの健全な教育を考えると、避けることができるならば、避けるべきであると思うのです。やはりお父さんとお母さんが仲良くすることがいかなる立派でぜいたくな家庭環境よりは、一番の子供たちに対する何よりものプレゼントなのではないでしょうか。

家庭は愛と平和の学校

家庭は私たちの人間社会の一番の基礎となる共同体です。理想家庭なくして理想社会はあり得ません。儒教では修身斉家治国平天下と教えています。個人を修め、家庭をととのえてこそ初めて平和な国、理想世界というものを私たちは期待することができる。人間が地上に生まれて最初に親の愛を経験する。兄弟の愛を経験する。おじいちゃんおばあちゃんの愛を経験する。やがて自らが結婚し、子供を持つことによって人間として様々な基本的人類愛というものを家庭の中で私たちは経験して参ります。家庭こそが愛というものを学ぶ学校である。このようにはっきりと宣言することができます。家庭を通して愛を学び、平和を学び、調和を学び、そして幸せというものを家庭の中で経験していくのです。その意味で家庭の崩壊ほど恐ろしい人類滅亡の兆候はありません。いかに偉大なアメリカでも家庭崩壊が進み、これを食い止めることができなければアメリカの未来はありません。日本はその意味でアメリカに追従してはいけない。家庭の重要性を青少年に教えながら、家庭再建を通して豊かで幸せな日本を構築していかなければならないと考えます。教育の再建、家庭再建に取り組みながらアジアと世界に冠たる、世界から尊敬される日本を創建して参りましょう。