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ハングルはこんなに面白い! 〔11〕

筑波大学名誉教授 高橋 磐郎

最高の言語文字の可能性  〔11〕

三編 超文法

(3)습니다体、요体

用言を丁寧に表現するときには、その用言のSにT=습니다を付ければよい(S、Tに関しては前号1節を参照)。Sが閉音ならそのまま付けて먹다→먹습니다(食べます)となる。Sが開音なら、가다→가습니다→갑니다(行きます)‥⑥のようにSTが置換法⑥で縮約される。Sがㄹ音なら置換法⑦で、알다→알습니다→압니다(解ります)‥⑦と縮約される(前号2節参照)。

一般の文法書には습니다体の変化は、母音・子音・ㄹ音の3分類に分けて述べられているが、ここでは「습니다体は語幹に습니다を付ければよい」というひと言で済んでしまう。あとは場合に応じて縮約が適応されるだけ、と言えば非常に見通しが良くなる。超文法の極意がここにある。

습니다体を気軽にいうときは요体が使われる。これはSが陽(陰)音のとき、T=아요(T=어요)とする。いずれの場合も、Sが開音のときのみ次のように縮約される。
가아요→가요(行きます)、서어요→서요(立ちます)‥④
오아요→와요(来ます)、마시어요→마셔요(飲みます)‥①
커어요→커요(大きいです)‥⑤

以上요体の場合はSの陽・陰だけに気を付ければよいことがわかる。

(4)過去形

陽(陰)音のSにT=았(었)を付けると過去形になる。そしてSが閉音のときはそのまま、開音のときは縮約される。
가았다→갔다(行った)、서었다→섰다(立った)‥④
주었다→줬다(与えた)‥①

これらは過去形の原形で、これらを습니다体や요体にしたいときは3節の方法を適応すればよいが、過去形は常に閉音になるから縮約は起こらない。

(5)尊敬語

SにT=으시다を付けると尊敬を表す語となる。この場合も습니다体と同様、Sが閉音なら、例えば읽으시다のようにそのままで、開音かㄹなら縮約される。
가으시다→가시다(行かれる)、알으시다→아시다(お解りになる)‥⑤
쓰으시다→쓰시다(書かれる)‥④

これらは尊敬語の原形であり、요体にしたいときは、3節の方法を使い縮約すれば
읽으시어요→읽으세요(読まれます)、가시어요→가세요(行かれます)‥①
아시어요→아세요(お解りになります)、시어요→쓰세요(書かれます)‥①
となりいずれの場合も세요が現れる。従って尊敬語を요体にするときは、Sに으세요を付ければよいという簡単なルールとなる、そしてSが開音なら縮約される。

以上、습니다体、요体、過去形、尊敬語とよく使われる4種類の変化形を見てきたが、습니다体は습니다を、尊敬語は으시다をつけさえすれば良く、요体と過去形は共に陽・陰の区別だけ考え、あとは場合に応じて縮約を施せばよいという、極めて簡単なルールですみ、荷が軽く見通しが明るくなってきた

(6)連体形

動詞の連体形は動詞で体言を修飾するものだが、その時制によって現在連体形、過去連体形、未来連体形がある。この場合陽・陰に無関係に現在連体形は는、過去連体形は은、未来連体形は을を付ければよい。

現在連体形にはㅇがないから、開音にも縮約はなくすべて共通で、가는사람(行く人)、읽는사람(読む人)などとなる。ただしㄹ音の場合ㄹが弱音脱落され、1節で述べたように、開音として扱われ알는사람→아는사람(知る人)となる。

過去連体形は、開音・ㄹ音の縮約が次のように行なわれる。
가은사람→간사람(行った人)、알은사람→안사람(知っている人)‥⑤

未来連体形も過去連体形のときと同様の縮約がある。なおこのほか、英語の完了形に似た、過去回想連体形というものがあるが、これは단を付ければよく、ㅇは含まれないので開・閉の区別は起こらない。

形容詞の連体形というのは、日本語にはない、韓国語特有なものと言えよう。韓国語の形容詞は、日本語と違って原形がそのまま体言に付くのではなく、連体形となって体言を修飾する。やはり時制があって現在連体形は은、過去連体形は던、未来連体形は을を語幹に付ける。このうち過去連体形にはㅇがないから、Sによる変化はない。現在・未来連体形で、開音ㄹ音には今までと同様な縮約が起こる。
싸은것→싼것(安い物)、싸을것→쌀것(安くなる物)‥⑤


【訂正とお詫び】

機関誌掲載時、마셔요(飲みます)、及び섰다(立った)に誤りがありました。訂正してお詫びします。