] 健康一番(3) スイマーズハイ
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健康一番 (3)

ジャーナリスト 高嶋 久

スイマーズハイ

足腰に負担を掛けないで全身運動のできるのが水泳です。温水プールに行くと、水中を歩いている中高年の女性をよく見かけます。

私は学生時代、水泳はあまり得意でなかったのですが、30代のころ、働いていた事務所のビルにプールがオープンしたので、インストラクターに教えてもらいました。水泳は一度体で覚えると忘れないので、早めにきちんとしたフォームをマスターすることです。きれいなフォームが身に付くと、楽に泳ぐことができます。海難事故に遭った時にも助かる確率が高くなります。

長く泳ぐには息継ぎがポイントで、洗面器などで練習してそれさえうまくできるようになると、体は水に浮くので、あとは手足を動かせばいいのです。

競技ではなく健康のための水泳なので、ゆっくり長く泳ぐようにします。私はもっぱらクロールですが、20分ほど泳いでいると何とも言えない、いい気分になってきます。これがいわゆるスイマーズハイです。有酸素運動のランナーズハイと同じですが、水が肌を伝う感覚が格別で、水圧がかかるのも体にいいようです。

40代後半から暮らすようになった田舎町には、6月下旬から9月初旬まで市が運営している温室プールがあります。温水ではないのですが、大きなビニールハウスの中にプールがあって、夏の間だけオープンしています。1回200円で回数券もあります。

昼間は混むこともあるので、よく行くのは夕方。窓が夕日に染まるのを見上げながら泳いでいると、別次元の世界に入ったような気持ちになります。

旅行に行くときは水泳パンツとゴーグルを持参します。蒋介石の妻・宋美齢が造った台北の圓山大飯店のプールは飛び込み台のある立派なものでした。インドでは2月でもホテルの野外のプールで泳げました。

地中海に浮かぶキプロスの南の海岸にあるラルナカのホテルに泊まった早朝、一人で湾内を泳いでいると、堤防の上で朝日を浴びながら瞑想をしているグループがありました。聞くとドイツ人の一行で、ドイツでは日本の坐禅をしている人たちも多いそうです。

ラルナカの近くには、ギリシャ神話の美の女神ヴィーナスが泡から生まれたという海岸があります。青く透き通った海に岩礁が突き出ていて、そんな神話が生まれそうな風景でした。生命は海から生まれてきたので、海に体を委ねると、懐かしい気持ちになるのかもしれません。

家から車で20分ほどで瀬戸内海なので、子供のころはよく海水浴に行きました。子供ができてからは、夏休みに潜り、小魚が泳いでいるのを眺めました。

里山と同じように、里海という言葉があります。人の手が入ることで豊かになる海のことで、例えばカキ棚があると魚が増えるそうです。水に親しむと楽しみが増えます。