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ハングルはこんなに面白い! 〔12〕

筑波大学名誉教授 高橋 磐郎

最高の言語文字の可能性  〔12〕

三編 超文法

(7)文の言い回しや接続における語形変化

文の言い回しや接続のときにも依名や語尾が使われ、今まで述べてきたような語形変化が起こる。これらの品詞をTで表し、その直前の用言をSで表す(1節参照)。Sの開・閉、陽・陰によってTの変化が起こる場合、無変化の場合、さらにSが連体形に変形する場合があり、それらの典型的な例をいくつか示そう。

1.無変化の場合

겠:가겠어요(行くつもりです)、읽어요(読むつもりです)

고:싸고아름답다(安くて綺麗だ)、만들고있어요(作っています)

この場合はSの特性や変化を気にせずに使うことが出来る。

2.Sの開・閉による変化

으니까:시간이 없으니까 어서하다(時間がないので速くする)、비싸으니까 깎이주십시오 → 비싸니까 깎이주십시오(高いのでまけて下さい)

으면:앉으면 편해요(座れば楽です)、가으면 알다→가면 알다(行けばわかる)

2、4番目の例は縮約⑤(三編2節)が施されている。このように可能な箇所を縮約しさえすれば、Sの開・閉によって으の有無を区別する必要はなく、無変化的取扱いができる。このような規則の簡潔化こそが超文法の特徴である。

3.陽・陰による変化

아서:일이 많아서 바쁘다(仕事が多くて忙しい)、태붕이 오아서 피해가많다→태붕이 와서 (台風がきて被害が多い)

어서:약속이 있어서 실례합니다(約束があって失礼します)

このケースはSが陽音なら아서を、陰音なら어서をTとするという2つの場合を考えていることになるが、これは陽・陰原則に従っているだけなので、特にケース分けとして気を付けるという必要もないだろう。こう見てくると㋺、㋩は無変化の場合と同様とみなしてもかまわないと考えられる。

4.Sが連体形となる場合

T(の最初の単語)が名詞的働きをする語、つまり依名、である場合があるが、そのときSは連体形となる必要が起こる。

데:비싼데 사다(高いけど買う)‥(a)、눈이 오는데 괘찬아요 (雪が降っているけど大丈夫です)‥(b)

데は名詞的役割を持っていて、(a)の싼は形容詞싸다の現在連体形싸은の縮約、(b)の오는は動詞오다の現在連体形となっている。

테니까:비가 올테니까 우산을 갖고 가요 (雨が降るだろうから傘をもっていきます)

ここで테は依名で올は오다の未来連体形。

(8)変則について

一般の文法書で変則とされているもののうち、多くは単なる弱音脱落や縮約の問題と解釈できる。筆者の知る限り変則と言うべきものは、ㅂ変則、ㅎ変則の2種類に限られると思われる。それらはㅂ、ㅎをパッチムとする語のうちの一部で、辞書に、”ㅂ変””ㅎ変”と記されている。

ㅂ変則:㋑パッチムㅂを持つ文字Aに으が続く時、ㅂが우に変化しAから離れて으の直前に移る。
덥으면→더우으면は⑤による縮約を受けて더으면(暑いなら)。좁으면→조우으면→조우면(狭いなら)。

㋺Aに아・어が続く時は、Aの陽・陰によってㅂは오・우に変化する。
덥어요→더우어요→더워요(暑いです)…①
좁아요→조오아요→조와요(狭いです)…①

ただしAがある単語の最終字である場合は、Aの直前の字の陽・陰によって오・우が決まる。
아름답어요→아름다우어요→아름다워요(美しいです)

ㅎ変則:ㅎをパッチムとする文字に으や아・어が続く時の変則で、으の場合は、変則というよりは、弱音脱落して縮約⑤が施されたものと見ることができる。

파랗으면→파라면(青いなら)、파랗은데→파란데(青いのに)。

問題は아・어の場合で、この場合もやはり弱音脱落・合成縮約するが、
파랗아요→파래요(青いです)、이렇어요→이래요(こうです)、하얗어요→하애요(真っ白です)などとなるが、この合成は、2節で述べた原則によるものでなく、変則合成といえる。

以上では継続文字を으、아、어との場合を考えたが、은 、을、았、었なども同様な変化が起こることに注意しておこう。

このほか、普通変則と呼ばれているㅅ変則は、ㅅをパッチムとして持つ語にㅇが続く時起こるが、
낫아요→나아요(優っています)、낫은것→나은것(優っているもの)
のように単なる弱音脱落に他ならない。しかしたとえば上の第二の例を縮約して、난것とするとこれは나다(生まれる)の現在連体形で、生まれるもの、という意味になってしまうことに注意する必要がある。

また.. 変則と呼ばれているものは
싣으면→실으면(積めば)、듣어요→믈어요(聞きます)
のようにㄷがㄹに変化するだけで、単なる音便変化と考えればよい。

また으変則とは、母音がㅡで終わる字に어が続く(ㅡが陰母音だから아は続かない)場合で、
쓰어요→써요(書きます)、끄어요→꺼요(消します)
などとなるもので、これらは縮約⑤に他ならない。これに似たもので르変則というのは르で終わる字に아・어が続くとき起こる모르아요→몰라요(解りません)などでㄹリエゾンの縮約⑤に他ならない。(ただし아・어のどちらが付くかは르の前の母音の陽・陰で決まる。부를어요→몰러요

以上この三篇では、縮約という操作を通して眺めると比較的わずかな規則で、文法上の様々な変化が導き出せることを述べた。無論韓国語の文法すべてを網羅することはできていない。特に指定詞、存在詞、하다動詞などの不規則性については、重要な内容だが、言及できなかった。しかしこの超文法の考えは、言及されなかった部分にも応用することができると思う。

おわりに

これでこの連載を終わりますが、この内容はどの本にも書いていない全く新しい独自な考え、つまり独断的と思われる点が随所にありますが、きっといつか何らかのお役に立つのではないかと自負しております。