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健康一番 (5)

ジャーナリスト 高嶋 久

体にもいい合唱

50代後半に合唱を始めました。子供のころから歌うのは好きでしたが、あまり得意ではありませんでした。特に合唱はうまくいかず、和音を響かせたという記憶がありません。

学生時代は歌声喫茶の末期で、友達と歌いに行ったり、寮の宴会で歌を披露し合うこともありました。30代の初めにカラオケが出ると歌う機会が増え、持ち歌らしきものにも出会えました。

合唱団に入ったのは、妻の友達が自宅で開いていた喫茶店でのパーティーに参加した折、読み語りをした女性の声の響きに感心して、誘われたのがきっかけ。練習は月2回、平日の午前10時から12時前までです。

指導の先生は当時70代後半。高校の音楽の先生だった時、県で初めてNHKの合唱コンクールで優勝し、教え子にプロが何人もいる方です。

当時、男性は私を含め2人だけで、ソプラノと一緒にメロディーを歌えばいいと言われました。女性は15人くらいで、アルトは経験者も多くしっかりしています。先生は、アルトは合唱の縁の下の力持ちだと言います。その後、男性は7人に増え、混声三部合唱を基本に、時には四部合唱を練習するようになりました。

今、先生は84歳。80歳の記念リサイタルが胆のう炎の手術で1年延びましたが、落ちた体重がすぐ80キロに回復したほど壮健です。声もよく出るので、年齢と発声の関係を聞いたところ、「大切なのは技術で、今が一番出る」ということでした。

練習は最初に発声をします。ベルカントというイタリア式の頭蓋骨を振るわせる発声で、腹式呼吸とこの発声が先生の健康の秘訣らしい。のどでの発声との違いなど、ユーモアを交えながら繰り返し教えてくれます。

そのうち、カラオケ好きの姉と時々一緒に行くカラオケ喫茶で、マスターに声がよく出るようになったと言われました。話す声にも張りが出てきたように感じます。

3年くらいたつと、肝心の和音を響かせるのも何とかできるようになりました。やはり合唱指導をしている先生の奥さんが来て、男性が入ると歌に深みがあっていいと褒めてくれました。男性たちはみんな楽譜が読めず、ピアノに合わせて覚えるしかないのですが、覚えては忘れの練習を重ねているうちに、少しずつ上達するものなのです。先生は忍耐強く、愛唱歌や軽妙な小話を交えながら指導してくださるので今でも続いています。

年に2回、県と市の合唱祭で2.3曲発表するのが目標です。一度、大学病院のクリスマスパーティーに出演したことがあります。合唱歌は中高生向けの歌が多いので、夢や希望、自然の恵みなどが主題です。歌いながら、新鮮な気持ちが失われがちになっていることに気づかされます。心と体のために、これからも歌い続けたいと思っています。