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親日・国際家庭インタビュー 〔3〕

新井諭/ジーンさん

互いにリスペクトする心を

日比国旗

——日本での生活は何年になりますか。

ジーン 16年です。でも日本語はまだまだ勉強中です。難しい部分は夫が通訳してくれます。

 私も英語が上手なわけではないので、新婚の頃は言葉の誤解から口論になることもありましたが、今はグローアップしたというか、誤解の可能性も考えた上での会話ができるようになりました。

ジーン 日本で暮らすフィリピン人は多いですよ。よく買い物中にフィリピン人を見つけると話しかけて、友達になったりします。街にはフィリピン人の集まりもあって、そこで生活に必要な情報交換ができます。またコミュニティーセンターなどで日本語や日本料理を学んだり、フィリピン料理を紹介したりすることもあります。

——フィリピンはカトリックの国ですが、結婚事情は?

ジーン キリスト教徒が約9割、イスラム教徒が1割弱います。ASEANでは唯一のキリスト教国家です。国民の平均年齢が23歳といわれ、とても若者が多いですが、マニラのような都市部では、皆仕事に忙しく、日本のように晩婚化が進んでいるようです。それ以外の地方では、結婚は早く、三世代で暮らすのはごく普通ですね。

わが家は妻を中心に回っています

——文化の違いで戸惑ったことは?

ジーン 日本は”静かすぎ”ます! 最初の頃は友達もいなかったせいもありますが、夫が朝早く働きに出ると、家の中はシーンと静まり、ひとりぼっち。とても寂しい気分になりました。しかも長時間労働で、帰りも夜中ですし。フィリピンはやはり南国気質というか、陽気なんですよ。住宅街でもどこからか音楽がいつも流れているし、人々のおしゃべりが絶えることのない雰囲気があります。でも日本はほんとに静か。そもそも大きな音をたてようものなら、ご近所から苦情がくるほどですから…。

——お互いの素晴らしいと思うところは?

 わが家は妻が”中心”なんですよ。常にリーダーシップをとっています。何事も妻が決めた方がうまくいくのです。これまで結婚生活をしてきた中での経験則ですね。

ジーン 夫はほんとに心が広く謙虚です。私にとって世界中の誰にも代え難い男性だと思っています。

——不満はないのですか。

ジーン 強いて挙げれば夫は家事ができません。一人っ子で育ち、一人暮らしをしたこともなく、身の回りのことは皆親がやっていたのでしょう。だから私が風邪で寝込むと大変なことになります。料理ひとつ作れないのですから。私たちには男の子二人の子供がいますが、彼らには将来のためにもしっかり家事の手伝いをさせています。男性が家事ができれば、いざという時、ほんとに女性は助かりますよ。

お願いして、夫にしてもらうようにしたこともあります。それは「キス」。家から出かける時は必ず、子供たちと私にキスをしてもらいます。愛は言葉だけでなく行動が必要。スキンシップも大事なのです。結婚してから、これまでずーっと続けています。日本人男性は恥ずかしがってしないことが多いようですが、これは私の国の良い文化だと思っています。

——喧嘩もあまりない?

ジーン いえ、結構多いですよ。でも必ず夫の方から謝ってくれるんです。しかも謝るのがすごく早い。私は頑固だから謝りませんが…。

 そう、確かに早いですよ。私は一種の信念をもっているんです。私たちは神様の前に永遠の愛を誓って結婚しました。それは形式的なことではないんです。神様がいるなら悪魔もいる。夫婦の仲を引き裂くのは悪魔の仕業でしょう。悪魔の言いなりになってなるものか! と自分に言いきかせるのです。だから多少くやしくてもすぐ謝ります。時間が経つ程、仲直りはむずかしくなるのです。相手が頑(かたく)なになる前に謝るのが効果的です。実際、私の方に非がある場合がほとんどなんですが…。

休日は二人で一緒に行動

——子供たちの教育方針は?

ジーン 家で子供たちとは英語で話をします。赤ん坊の時からです。ですから幼稚園に上がるまでは子供たちもほとんど英語を話していました。でもテレビや学校で、すぐ日本語も覚えてくれました。やはり国際家庭の子ですので、将来国を超えた活動をしてほしいと思っています。フィリピンは英語圏ですので、一般的にもグローバルな志向が強いですよ。例えば、国の規模の割にはたくさんの職員が国連で働いています。

——未婚の男女へアドバイスを。

ジーン 何事も愛を中心に考えること。そうすれば他のことは我慢できます。愛を持続させるためには、二人で話す時間をよくとることだと思います。それから、相手の好き嫌いをよく理解することも大切です。私たちはお互いが休日の時は、必ず一緒に行動します。よく二人でカラオケとか行きますよ。

 私は相手をリスペクトする気持ちが大事だと思います。自分の奥さんだからと言ってないがしろにするのは駄目です。私たちの喧嘩は、私が妻へリスペクトする心を忘れてしまった時に起こるのです。それがすぐ分かるので、謝るのも早いというわけです。