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健康一番 (7)

ジャーナリスト 高嶋 久

男性料理教室の成果は

合唱で一緒の女性に誘われ、4年前から月1回の男性料理教室に通っています。市に食生活改善推進協議会という団体があり、彼女はヘルシーメイト(愛称=食改さん)というスタッフの一人。緑のエプロンをして、市民に多い生活習慣病の予防に取り組んでいるそうです。参加費は1回500円で昼食も食べられます。

瀬戸内海に面した私の県は、高血圧や糖尿病が国内でワーストクラス。大好物のうどんの食べ過ぎが一因ではないかと思います。しかも、なぜか野菜の摂取率が低く、そんな食生活の改善に食改さんたちは意欲を燃やしているのです。

新年度の始まりは5月から。初回は、瀬戸内に春の到来を告げる鰆(さわら)の押し寿司がメーンです。脂の乗った鰆の切り身を酢に浸し、すし飯の上に載せ、そら豆やふきなどを添えます。

まだ田植え機がなかった頃、子供も動員された田植えの弁当などに、母がよく作ってくれました。疲れた体に酸味の利いた鰆と飯のコンビネーションが何とも美味で、何個も食べたのを覚えています。地域の伝統料理には、健康を守るための先人の知恵が蓄積されているのです。

料理の初めに、食改さんは「震災に遭ったりすると男性も自分で料理しないといけなくなります。料理することで、味付けにも敏感になってください」と料理教室の意義を語った後、メニューと料理法を説明しました。この日はタケノコの木の芽和えに茶碗蒸し。参加した男性は15人、60代後半から70代の高齢者ばかりで、4班に分かれ、食改さんの指導を受けながら料理をします。

押し寿司は、酢でぬらした手ですし飯を取り、おにぎり状にして木枠に入れ、上に鰆を載せ、押して抜き出します。鰆のあらを使った味噌汁に桜餅のデザートも用意して出来上がり。午前10時に始め、11時半には終わります。

班ごとに料理を試食しながら懇談。男性の大半が元ビジネス戦士で、現役時代の不摂生を反省している様子。「自慢じゃないが、家では料理はしない」と言う男性も「妻と料理の話ができるようになった」と進歩が見られます。私も今までスルーしてきたテレビの料理番組を見たりしています。食改さんたちはそんな男性たちを褒め上げ、減塩にはちゃんとだしを取るようにするなどアドバイスしてくれます。

私も家では妻に任せきりですが、月の半分近くは遠隔地の仕事場で自炊しているので、最近は、家から里芋や大根、タケノコなどを持参し、それに合わせて肉や魚を買い、クックパッドを見ながら料理しています。やってみると料理は創造性に富んでいて、こんな楽しみを妻だけに味わわせておくことはないと思うようになりました。