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親日・国際家庭インタビュー 〔4〕

石垣芳博/郭琴さん

子供が幸せを運んできてくれた

日中国旗

——お2人が家庭を持たれたのは?

 2009年1月です。私は中国の南、江西省の出身で、中国で主人と知り合って結婚し、暮らすようになりました。

芳博 私が26歳で妻が25歳の時ですね

——琴さんは日本語はどうでした。

 中国では本でひらがなと初級文法を独学したくらいで、来日した時はあまり話せませんでしたが、生活する中で覚えました。日本語が分からないと周りの日本人のことが理解できないから、とても苦しくて、それを乗り越えようと一生懸命しゃべっているうちに、次第に分かるようになりました。最初は、日本語を聞くだけで頭が痛くなるような時期もありましたね。それを超えると、急にペラペラになった。(笑い)

主張する中国人、我慢する日本人

——日中の文化の違いで戸惑ったりしたことは?

 中国人は自分の考えやしたいことが一番ですが、日本人はしたいことがあっても、目上の人がダメだと言うとできないですね。中国人としては、自分のことなのに、どうして他人の言うことを聞かないといけないのと思ったり、それで主人とけんかになったこともあります。

芳博 それは、私が言葉や文化を含め彼女のことをもっと理解したいと思って、中国に留学したいと言った時、上司が許可してくれなかったことですね。彼女に、どうしてと聞かれて、最初は何が問題なのかよく分からなかったのですが、だんだんこれが文化の違いなんだと分かりました。

 周りの日本人もそんな風に振る舞うので、集団から出るのが難しいのだと分かりました。中国人だと、上がダメだと言っても自分で勝手にするのですが。

日本人はそれだけ集団に対する責任感が強いのでしょうね。中国人はそれほどでもありません。そんな日本人の特性が分かるようになって、私も少し譲るようになり、夫婦げんかも少なくなりました。

——夫婦ではどうやって折り合いを付けたのですか。

芳博 妻が言うことは間違いではないので、よく話し合ううちに妻のことを理解できるようになりました。むしろ、妻がはっきり言うので夫婦で話し合えるようになったのです。

 日本で暮らすうちにぶつかることが多くなったので、それなら完全に日本の中に入り、日本人と一緒に歩んで、日本人の民族性や文化を理解したいと思いました。

——ご主人のいいところは?

 責任感が強くて優しいことですね。いつも譲ってくれて、怒ることはあまりありません。

最初の頃、よくけんかになったのは、私に相談しないで何でも決めたことです。後で結果だけ教えてくれる。何でもまず私に相談してから決めてほしいのに、「今日、これがありますよ」って、お知らせみたいに言うものだから。(笑い)

芳博 それを妻が怒っているのに、最初は気付かなかったですね。妻に言われてみて、ああそうやなと(笑い)。それから、何事も、ひとこと妻に相談してから決めるようにしました。

子育て文化の違いに戸惑い

——お子さんを授かってどうですか。

 妊娠から出産の段階で、中国では親がもっとかかわってきます。妊婦は食べて寝るだけで何もしなくていい(笑い)。赤ちゃんの世話も、最初の頃は全部親がしてくれます。

日本でも孫は大切にしますが、そこまではしませんね。主人も、最初の子の時は余り世話してくれませんでしたが、2人目はちゃんとしてくれました。長女が5歳で年長さん、次女が1歳です。

芳博 私の両親は車で15分のところにいるのですが、自営業が忙しいので、時間的に難しかったこともあります。子育て文化の違いもあって、妻が苦労しているなとは思っていました。

 私からすると、日本人は少し冷たいんですね。中国の祖父母は、それこそ目に入れても痛くない、ウンチをしても臭くないくらいかわいがりますから。親が子供の言うことを聞くのは当たり前で、孫が生まれると、一番大切な孫が生活の中心になります。

——子育ての相談などは誰に?

 教会に通っているので、そこの同世代や先輩の女性たちによく相談しています。私にとってはとても大切な人たちで、彼女たちがいないと日本ではとても生きていけません。

子供がいると寂しくない

——結婚してよかったことは。

 一番は子供が生まれたことですね。でも、主人は仕事があるし、中国の親族は近くにおらず、当時は気軽に相談出来る人が近くにいなくて、子供と2人だけでいると精神的に大変でした。母親が子供を殺したというニュースを見て、彼女のことを理解でき、かわいそうだと思ったくらいです。そんなところを乗り越えると、少しずつ安心感と幸福感に満たされるようになって、今では子供がいるから日本にいても寂しくありません。

芳博 昔は子供が好きなほうではなかったのですが、かかわっていく中でだんだん楽しく好きになってきました。それが私自身にとっても、とてもいいことだと思っています。