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お日さまニコニコ毎日前進![5]

エッセイスト 櫻井 ひろみ

「結婚したくない」に見る男と女、今昔

「結婚したくない」と考えている女性が全体の3割! というデータが、日本生命保険の契約者向けインターネット調査結果として発表されました(本年4月)

「将来、結婚したいと思いますか」の質問に、独身の男女合わせて約5000人が回答し、「あまり結婚したくない」「結婚したくない」を合わせて、女性が31.0%、男性が16.3%となり、結婚に背を向ける女性の数が男性の倍もいるとの結果でした。独身男性の皆さんにとっては簡単に見過ごすことができない深刻な数値となりました。

年代による内訳は、20代が7.8%、30代が17.3%、40代が29.1%で、年齢を重ねれば重ねるほど独身女性は結婚願望を捨てはじめるようです。

理由は、「一人でいるのが好き」というのが男女共に最も多く、女性が29.8%、男性が28.5%でした。「結婚にプラスのイメージが持てない」は女性29.0%、男性17.1%となり、女性にとって結婚への憧れ(?)が、時代と共に随分冷めてきているのかもしれません。王子様を待つシンデレラたちは、もう絵本の中に戻ってしまったのかも…。

結婚すること

NHK放送文化研究所が「日本人意識調査」を5年に1回調査しており、「現代日本人の意識構造(第8版)」が出版されました。その調査でも結婚観が大きく変化してきているのが読み取れます。(図1)

設問の1個に次の二つの選択肢から考えに近いものを選んでもらっています。
1.人は結婚するのが当たり前だ《するのが当然》
2.必ずしも結婚する必要はない《しなくてよい》

この結果もこの20年間、《するのが当然》が確実に減り続け、《しなくてよい》が増えてきました。驚いたのは、東日本大震災を挟んだ期間でも「必ずしも結婚する必要はない」が増加していることです。震災直後、メディアは家族を大切に思う日本人が増えてきていることに合わせて、若者たちの結婚願望も高まってきているとの報道が多数派だったように記憶しています。被災地の結婚式の様子なども大きく取り上げられていましたが、蓋をあけてみると、5年間のスパンではやっぱり時代の趨勢(すうせい)を食い止める力にはなり得なかったということでしょうか…ちょっとショックでした。

「結婚すべきかどうか」についての結果が男女年齢層別にまとめられた統計もありました。(図2)《するのが当然》が20年間ですべての年齢層で減っているのが読み取れます。当然、《しなくてよい》が増えているのですが図は割愛させていただきます。

それでも、やはりご年配の皆様は男女問わず《結婚するのが当然》と考える方が多いようで、結婚のかたりべとして若者たちに結婚の良きところを大いに語っていただきたいものです。左のグラフに奇跡の逆転劇を作ることができるとしたら「今」しかないようにも思われます。

結婚まで深刻に考えなくても、それではせめて「恋人」に関して、昨今の若者たちはどのように考えているのでしょうか?

内閣府発表による意識調査(14年度、20〜39歳の未婚男女対象)によると、「恋人が欲しいか」の問いに、「欲しい」は60.8%、「欲しくない」が37.6%にも達していました。「欲しくない」と回答した人を男女別でみると、男性36.2%、女性39.1%でした。

その理由(複数回答)は、「恋愛が面倒」(46.2%)、「自分の趣味に力を入れたい」(45.1%)などとなっています。4割近い未婚男女が「恋人」にも背を向ける時代に突入しているのです。理由は「めんどい」です。「めんどくせ〜!」という言葉が耳によく飛び込んできますが、今や「恋人」もそのカテゴリーに組み込まれてしまいました。

読売新聞コラム欄にこんな詩が引用されていました。

愛せらるるは薔薇の花 愛することは薔薇の棘(とげ) 花はあまりに散り易し 棘はあまりに身に痛し

愛される身は芳香に包まれ、愛する身は失恋の棘と隣り合う。できれば愛される側でいたい。しかし、愛されたら愛されたで、相手の愛が冷めてしまわないかと怯おびえてしまう。なので、めんどくせ〜!のです。

恋人になったら相手の気持ちを気遣ったり、なにかと記念日を覚えておいていろいろなプレゼント、なによりも愛さなければならない…それが面倒なのです。

内閣府が昨年秋に全国の20〜799歳の男女1639人を対象に行った意識調査でも、若年層の未婚、晩婚化の理由について聞いたところ、女性の回答は「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」が55.3%と最も高く、「自由」「気楽さ」が判断の大きなキーワードになっていることは間違いないようです。

生きるためにも結婚を余儀なくされた一昔前から見たら、女性たちの社会進出も相まって「結婚」の価値観は大きく揺れ動き、このまま行けば辞書から消滅ということも無きにしもあらず? 「昔々、男と女が結婚という、世にも不思議な営みをしてたそうな…」なんていう日本昔話が書店に並ぶことも、なんとなく思い描いてしまうこの頃です。

結婚するのが当然