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健康一番 (8)

ジャーナリスト 高嶋 久

体温アップで免疫力向上

「体温が1℃下がると免疫力が30%低下する」「体温を2℃上げればがんが治る」というのが、免疫学が専門の安保徹(あぼとおる)新潟大学名誉教授の理論です。基礎医学が専門なので、臨床学的に疑問視する人もいますが、著書の『免疫革命』はよく読まれています。がん治療に多くの抗がん剤が開発されていますが、どうもがんのほうが先を進んでいるようです。病気を治すよりも、病気にならない体を作ることに力点を移したほうがよく、それには自己免疫力の向上がポイントで、体温アップがその方法の一つでしょう。

健康な日本人の平均体温は36.6〜37.2℃で、35℃台になると低体温です。体温は早朝は低く、夕方に高くなり、その差はほぼ1℃以内。熱が出ていなくても、運動や気温、食事、睡眠、感情の変化などの影響で変動しています。

年齢でいうと、乳幼児のころは高く、成長するにつれて少しずつ下がり、10歳くらいから安定して、高齢になると身体機能が落ちるので、再び低下していきます。

体温が上がると血液の流れがよくなり免疫力が高まります。免疫機能を持っているのは白血球で、体の中をめぐりながらウイルスや細菌などの異物を探し、発見すると、素早く駆除してくれます。がん細胞は、健康な人でも1日に5000個もできているのに、がんにならないのは免疫細胞のおかげです。

低体温の原因の9割は筋肉量の低下で、日本人の体温平均は、50年前に比べ0.7℃近く下がっているそうです。その理由の第1は、ライフスタイルの変化で運動不足になったことです。人間の最も太い筋肉は太ももにあるので、ジョギングやウオーキング、スクワットで足の筋肉を鍛えると、心臓への血流がよくなり、循環器系の病気予防にもなります。

体温が下がると、基礎代謝が下がって内臓脂肪が増え、がんや高血圧、糖尿病を発症しやすくなります。加齢とともに基礎代謝が落ちるので、筋肉量を減らさないようにしたいものです。

湯船に10分ほどつかれば体温が1℃くらい上がります。できれば日に2回、朝の活動前と夜の就寝前に入るようにします。日本人が長生きな理由の一つは風呂好きだからです。

食事では、根菜に体を温める作用があるので、秋から冬にかけては大根やニンジンなど根菜類を多めに取るようにします。妻が愛飲しているのはしょうが入り紅茶で、紅茶はうがいに使っても効果があります。体が冷えるときには、しょうが湯を飲むのに限ります。

服装も体温を逃がさないように、寒い季節にはマフラーやストール、足首のウオーマー、ヒートテックの下着などを愛用し、靴下を重ねてはいたりします。

考え方、気の持ち方も大切です。がんも最大の原因はストレスだと言われますので、苦労も自分を高めるための試練だと思い、楽しく前向きに生きるようにしましょう。