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親日・国際家庭インタビュー 〔5〕

池田正夫/キャサリンさん

正直に生きることが大事です

日ケニア国旗

——いつ日本に?

キャサリン 1983年にケニアで結婚して、日本にきたのは2009年ですね。結婚生活は長いですが、日本での生活は5年ほどということになります。

——日本に来て戸惑ったことなどはありますか?

キャサリン 日本文化については、事前にケニアで学んできました。語学学校の先生が日本人で、いろいろと教えてもらいました。日本料理もできますよ。でも実際きてみると、最初のころはたいへんでした。やはり日本語は難しい。スーパーで塩と砂糖を文字で見分けることもできず、困りました。電車の乗り継ぎなども複雑過ぎ! 家に夫がいない時はほんとに心細い思いをしました。

——現在は?

キャサリン 今も、日本語はまだダメですが、何事もチャレンジ精神で毎日がんばっています。私は特に、女性としての”美”に関心があって、ヘアスタイルを自分でセットしたり、アフリカらしいアクセサリーなどをつくっています。アフリカ人の友人らに頼まれたり、アフリカ関連のイベントなどで”スタイリスト”のようなことをやっています。それが今の仕事のようなものですね。

正夫 ケニアはスワヒリ語ですが、それを教えてくれる日本人がいて、私も語学学校に通っていました。妻とはそこで知り合ったんですよ。

若くても”大人”のケニア女性

——ケニアの宗教や結婚事情は?

キャサリン キリスト教国家です。プロテスタントが約5割、カトリックと他のキリスト教が約3割、ムスリムが1割という状態です。女性が16、17歳で結婚するのは珍しくないですね。ティーンエイジャーで子供がいる人もたくさんいます。

——女性は大人になるのが早いということです。

正夫 それは確かに実感しました。日本人の20歳といえば、まだ子供のような雰囲気が多少ありますよね。でもケニアで20歳の女性といえば、もう立派な大人。社会的にも独立していることが多いし、家事や仕事もきちんとこなすという印象です。

——ケニアで結婚したということは、正夫さんはもともと海外に?

正夫 私は料理人なんですよ。主にフランス料理。若いころからフランス、オランダ、ポルトガルなどヨーロッパを中心にいろんな国で仕事をしていました。これまで16か国を訪れました。

——海外で働くことにご両親は反対などされなかったのですか?

正夫 私は6人兄弟の四男でしたので、どこで何をしようと自由にやってかまわないという感じだったんですよ。親も喜んで送り出してくれました。

——でも海外で働くのは相当苦労されたのでは?

正夫 ”郷に入っては郷に従え”をモットーにしていて、何も苦労と思ったことはありませんでした。日本ではこうだったとか、そういう考えは最初から捨てて、現地のものを吸収するという姿勢でしたので、毎日が楽しかったですよ。

——奥さんの何に惹かれたのですか?

正夫 簡単にいうと、しっかりしているところですね。先程ケニアの女性は”大人”だと話しましたが、彼女も若いのに自分の考えをしっかり持っていました。語学学校の学生たちと一緒にディスコでパーティーをしたとき、お世話係の学生が3人いたのですが、彼女はその人たちの分のお金も負担すると言ったのです。普通は学生だし「ありがとう」で済ませるような状況だったのですが、彼女なりの考えがあったのでしょう。他にそのように言う人はいなかったので、私にはとても新鮮に思えました。

実は彼女は再婚で、つきあい始めたころ、幼い子供がいました。私たちが二人でデートに出かけるとき、彼女は子供に「家でおとなしくしていてね」と言うと、子供はちゃんと言いつけを守るのです。普通の子なら泣き出してもおかしくない状況です。普段の子供に対する教育がしっかりしているんだなと思いました。もっともこれは、彼女の家の代々受け継がれてきた家風というか、教育がしっかりした家系なんですよ。お父さんは政治家で、ケニアの独立前から国に尽くしてきたという立派な方です。

子供には善悪をしっかり教える

——子供の教育は?

キャサリン 日本人学校に通わせていました。今では日本のことをよく理解してくれています。ケニアで池田姓を名乗ると、皆びっくりするのですが、それを誇りにしてくれているのがとてもうれしいです。夫婦間もそうですが、子供とはちゃんと対話することが大事。むかし子供が悪いことをして叱ったら、家から飛び出して行ったことがあったのですが、友人の家にいることが分かって、連れ戻し、何が悪かったのか、どうすればいいのか、理解するまで話しました。その日の夕方までには仲直りして、夕ご飯は一緒に食べる。そういうことが何度もあったのです。ほったらかしにせず、善悪をちゃんと教えなければなりません。今、大人になった子供たちは、かつてそういう教育を受けたことを私にとても感謝してくれています。

——若いカップルへのアドバイスを。

キャサリン 何よりお互い正直に生きることではないでしょうか。いろいろ問題が起こっても正直に生きてきた基盤があれば、その信頼が問題を乗り越える力になると思います。