機関誌画像

親日・国際家庭インタビュー 〔7〕

岡本有司さん

結婚式にみる親族の強い絆

日所国旗

ソロモン諸島の妻と結婚したのは、2011年。2012年からは日本で一緒に暮らしています。ソロモン諸島は一般にあまりなじみのない国ですが、南半球でオーストラリアの北東に位置し、イギリス連邦に属する国です。公用語は英語で、それと現地の言語を話します。

宗教はほとんどの人がカトリックです。妻の父は熱心な信徒で、教会の牧師が都合の悪い時には、代わって説教を任せられたりするほど、地元では有名な人でした。

ソロモンでは親族の絆がとても強いのが印象的でした。現地の言葉では、”兄弟”の意味がとても広く、お父さんの兄弟の息子も”兄弟”と言うので、最初の頃はいったい何人兄弟がいるのか訝(いぶか)しく思いました。つまり親族を分けて考えないということのようです。

男女のカップルは、両親の許可がなければいわゆるデートはできません。2人で話したりするのは問題ないですが、許可なしに街を2人で歩いたりはできないのです。結婚へのステップは2段階あって、まず両親と身近な親戚が集まった席で、なぜ付き合いたいのかを説明しなければなりません。そこで皆の了解が得られると、今度は広く親族一同が集まった席で、同じように了解を得るのです。ですから、そうした了解なしに2人でデートして、親族の誰かに見つかろうものなら大問題になるのです。

私も例外ではなく、そうした場で話すことになりました。私は「ソロモンと日本は、距離は離れているけれども神様を中心に見れば、等しく創造された人間同士であり、同じ一つの家族だから仲良くやっていきたい」と訴えました。

大勢の人に祝福されて

幸いにも妻の父は、日系企業に勤めるエンジニアで、研修のため日本にきたことがあり、日本人に対する理解が深い人でした。しかも日本での滞在先が、偶然にも私の暮らす東京・八王子だったことなど不思議な縁を感じていました。仕事で日本の他にもイギリスなど海外での経験が豊富な方でしたので、娘の夫が外国人になることにもあまり抵抗がなかったようです

結婚式はソロモンで挙げました。日本のような業者任せのものではなく、親族が総出で行うものです。前日から夜通し時間をかけて食事の準備をしたりします。当日は親族だけでなく近隣住民にも食事がふるまわれます。式は教会で挙げるのですが、近くの人たちも結婚式を聞きつけてどんどん集まってきて、すごい列になったりするのです。大勢の人に祝福されるソロモンでの結婚式は、ほんとうに得難い素晴らしい経験でした。

ソロモンは赤道に近い国ですから年中、温暖なのですが、妻が日本にきたのはちょうど冬で、寒さになれるのは大変だったようです。最初は日本語も話せない上、英語を生かした仕事を探したのですが全く採用されずホームシックにもなってしまい、「国に帰りたい」と言い出したこともあります。今はパートの仕事を得て元気に働いています。

日本に暮らすソロモン諸島の方は、数は少ないですが、7月7日の独立記念日や年末年始など、年に2〜3回は集まる機会があります。JICA(国際協力機構)の青年などソロモンに関わる日本人たちもきてくれます。その他、ちょうど私たちの住む町の近い場所にもソロモン人の家庭があって、たまに呼ばれて焼き肉パーティーをしたりします。

妻に学んだ「聞く」姿勢

妻は誰とでも仲良くなれるという長所を持っています。公園でおじさんと仲良くなったり、子供が話しかけてきたりとか、フレンドリーな雰囲気があるようです。それは両親の

影響を受けたのでしょう。実はソロモンは部族対立の歴史があります。実家は他部族との境のような場所にあって、親族がよく心配していました。でも妻の両親は誰からも愛され、誰とも仲良くやっていました。そうした両親の姿に妻は学んだと思います。

結婚して4年になりますが、最近になって、妻のさらに素晴らしい点に気づいたことがあります。それは謙虚というか、自分に良いことがあっても他人にひけらかすようなことをしないのです。例えば、どこそこへ旅行してきたとか、こんな良いものをもらったとか、あえて自分から自慢するようなことは一切言わないのです。それもどうやらソロモンでの環境が関係しているようです。ソロモンでは皆が豊かではないので、「どこそこへ旅行してきた」と話しても、日本のように「じゃあ、私も行ってみよう」とはならないのです。そうした環境が謙虚な態度につながっているようです。

だから、妻は自分のことを話すより、よく人の話を聞くのです。簡単なようでなかなかできることではありません。私は自分のことを話したい方なので、妻を見習って、人の話をよく聞くように心がけています。

夫婦間でも考え方や、やり方が随分違うことが多いですが、まず妻の話をよく聞いて、やれるものなら実行してみることにしています。すると意外な発見があったり、別の角度で物を見ることができるようになったりします。仕事でもお客さんの話をよく聞くべきだと言われますが、私は妻を見て、自分がそうできていなかったことに改めて気づかされたのです。