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健康一番 (11)

ジャーナリスト 高嶋 久

社会参加で生きがいづくり

私は今60代の後半。中年以後の人生を振り返ってよかったと思う一つは、地域のいろいろな活動に参加できたことです。健康長寿には運動と食事が基本ですが、人間は社会的動物ですから、孤独になると生きる力が失われてしまいます。

48歳の時、それまで25年間、独り暮らしをしていた75歳の母が脳内出血で倒れました。いずれ一緒に暮らそうと思っていたので、それを機に故郷への引っ越しを決意。妻も子も賛成してくれたので助かりました。

忘れられないのは、痴呆が出てきた母を病院に連れて行った時、医者に「お名前は?」と聞かれて、私の名前を答え続けたことです。母の強い思いを知らされたようで、最後の10年間、妻と介護しながら親孝行し、母を見送ることができたのが幸いでした。

わが家には農地が約50アールあり、近所の農家に貸していたのですが、当時、自治会で集団営農を始めていたので参加しました。その後、農事組合法人に発展し、約25ヘクタールに増えた田んぼで米と麦、大豆を生産しています。

農作業に出てくるのは7〜8人。田植え機が普及する前、農家は女性たちが共同で田植えしていました。しかし、機械化が進むにつれて農家も個人化していたのが、昔返りしたような感じです。

約30年ぶりに地元に帰ったのですが、月2〜3回の往復で東京の仕事を続けていたので、そのままだと孤立しかねなかったのですが、一緒に作業することで地域の事情も分かり、何より貴重な労働力として歓迎されました。忙しい農繁期には、予定を調整してパートで農作業するようにしています。

私の自治会は35世帯で、5〜6世帯の班が一番身近な近所。年替わりで自治会長が回ってきます。帰って6年目に自治会長になった時、神社の祭りのやっこ行列が当番の年でした。祭りの前4日間で旧町内約800世帯を練り歩きます。経験者を招いて練習し、参加者を募って役割を決め、4チームを作ってくまなく回り、ご祝儀も集まりました。

普段は自治会活動に出てこない若い人たちも参加し、やっこ行列は成功。打ち上げには約80人が参加し、親睦を深めることができました。それを機に神社の氏子会の活動をするようになり、同級生以外にも付き合いが広がりました。妻は福祉委員になって、2か月に一度、75歳以上の高齢者を集め食事会をしています。

その他、合唱や料理教室、勉強会、お寺の手伝い、町内運動会、文化祭、親戚とは法事やいとこ会、子供が中学生までの間は保護者会などやってきました。東京での仕事を通した関係と違って、自然な形で社会参加できるのが、田舎暮らしのいいところです。