機関誌画像

親日・国際家庭インタビュー 〔8〕

洪姫貞さん

似た者夫婦になりました

日韓国旗

結婚したのが1988年。日本にきたのは1992年ですから、もう23年になります。韓国にいる時に日本人の友人から少し日本語を学んでいましたが、本格的には日本語教室に通うようになってからです。

93年に長女が生まれ、3年後に次女、さらに年子で長男、次男と、あっという間に4人の子供を授かりました。

当時はまだ日本語が話せない上に、夫は月曜から金曜まで出張で家にはもどらない仕事をしていました。妊娠中はつわりがひどくて体力的に大変だったり、子供を抱えて家で自分ひとりになってしまうと、とても寂しく不安な時期もありました。部屋の壁にハングルで「私はできる!」と大きく書いた紙を貼って、「今日も1日がんばるぞ!」と自分を鼓舞したりしていました。

また、義母が心配して、よく私たちの家を訪ねてくれて、いろいろと助けてくれたのはありがたいことでした。義父も新しい冷蔵庫を4階にある私たちの部屋まで担いで持ってきてくれたり…。

韓国では子供が親に尽くすという伝統があります。私も例えば日本の義父、義母の誕生日などには贈り物をもって訪ねたりします。私としては尽くし足りない申し訳ない立場ですが、ほんの少しの真心にも大変喜んでくれます。

韓日の違いでいうと、韓国では血統を重んじます。どこの家も分厚い家系図を持っています。女性は結婚しても日本のように姓は変えません。でも女性は結婚して他の家の家系に入ってしまうので家系図に名前は記されないのです。

子供たちを信じてあげる

下の男の子たちが生まれた頃は、もう自分が食事する時間もないほど生活に忙しい日々でした。小学生の頃は授業参観やPTAなど3人の子の対応をするので精一杯でした。でも他のお母さん方が優しく助けてくれたりしました。

週末しか家にいない夫でしたが、家にかえると子供たち4人を抱えてお腹に載せたり、狭いお風呂にみんなで入ったりとよく面倒をみてくれました。子供たちは皆、お父さんが大好きです。よく女の子が大人になっていくと、お父さんと距離をおいたりするケースを耳にしますが、わが家は今でも、長女、次女は2人ともお父さんとは和気藹々(あいあい)、1日の出来事を話したりしています。

子供たちについては、親として「子供を信じてあげる」ことを大切にしています。信じる心があれば、子供に対する言葉が違ってきます。例えば子供が夜遅く帰宅した場合、怒ったりするより、「何かあったの、大変だったわね」という言葉が先にでてきます。子供もそういう親の心を敏感に感じ取って成長していくのです。

もっとも、子供たちが小さい頃は、結構厳しかったかもしれません。子供たちは、「昔のお母さんはすごく怖かった」とよく言っていますから。

私は韓国で4人兄妹の中で育ち、両親からは「豆つぶ一つでも兄弟で分けて食べるんだよ」と教わりました。そのことはそのまま子供たちに言ってきかせました。だから子供たちは本当に仲がいいですし、長女はよく下の子の面倒を見てくれて助かりました。

わが家は、けっして裕福な方ではなかったので、子供たちのやりたいことをやらせてあげられなかったと思うのですが、今ではそれぞれ将来の夢をもって頑張っているようです。

長女と次女は、それぞれ小学校の教師、幼稚園の先生を目指して大学で勉強中ですし、長男は自衛官、次男は警察官になりたいと言っています。小学校の時に出会った先生が素晴らしかったり、東日本大震災の時に被災者のために尽力する自衛隊を見て影響を受けたりと、親の知らない間に子供たちはいろいろ考えていたようです。

影響し合ってちょうど良い性格に

夫とは喧嘩したことは全くありません。夫はいつも穏やかで笑顔が絶えず、一度も怒ったところを見たことがありません。でも仕事上のストレスなど避けられないことがあると思います。そんな時は身体的に変化があったり、電話でも声を聴くだけで分かったりします。

韓国では「夫婦は一つ」という強いイメージがあります。私も自分の両親をみて本当にそうだなと思っていました。何をするにしても夫婦でよく話し合っていました。だから日本にきても、両親がしていたように夫と話すのですが、ある時、夫が「いったいどこまで私の中に入ってくるの?」と言ったことがあります。それは精神的な意味でそう言ったのです。私としては普通なこととして話していたので何がひっかかっているのかよく分からなかったのですが、夫としては夫婦といえども口をだされたくない部分があったようです。

でも今では夫も、そんなことは気にしなくなりました。長年一緒にいると似てくるというか、例えば私は韓国人特有のせっかちなところがあるのですが、のんびり型の夫の影響を受けて、いまではせっかちな部分が薄くなりました。一方、夫も私の影響を受けて、双方足して2で割ったような、ちょうど良い性格になっているような気がします。

若い頃は、夫婦2人で旅行する暇もなかったのですが、最近、夫が「いつかキャンピングカーで日本中を旅行してみようか」と言ってくれたことがあります。密かに実現を楽しみにしているこのごろです。