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親日・国際家庭インタビュー 〔9〕

渡辺清志/麗麗さん

大らかな妻に感謝の日々

日馬国旗

——マレーシアといえば、イスラム教を国教とするイスラム国家ですね。

清志 確かにそうなのですが、実際はマレー系、中国系、インド系が主要民族で、さらに少数民族がいるなど多民族国家なんですよ。ですから、宗教もマレー系がイスラム教、中国系は仏教、インド系はヒンドゥー教を主に信仰しています。島ごとに住むエリアが分かれていたりします。それぞれ、民族にちなんだ行事や祝日があって、とてもバラエティーに富んだイメージですよ。言葉はマレー語、中国語、英語が基本になっています。妻は中国系です。

——イスラム的だなと思うことは?

清志 日本人が逮捕されたり、たびたび報道で耳にしますが、麻薬にはとてもきびしいです。持っているだけで死刑になったりします。飛行機に乗ると麻薬の所持に関する注意がアナウンスされるほどです。それから、いわゆる「性」の表現もきびしいです。日本では書店や広告などで女性の性を売り物にする類いのものが溢れていますが、マレーシアでは見ることはできません。その点はすっきりしています。

——マレーシアのご家族は?

麗麗 私は7人兄弟の一番末っ子です。遠い日本に嫁に行くことを残念がっていましたが、姉らが両親に良く言ってくれて受け入れてもらいました。でも母が3年前に、父は今年の4月に他界しています。

賑やかに故人をおくり出す

清志 マレーシアには6回ほど行きましたが、そのうち2回は葬儀のためということですね。中国式の葬儀だと思うのですが、日本とはずいぶん違うものでしたね。日本は悲しみが前面に出てきますが、向こうでは必ずしもそうではない印象です。いろんな供え物や、お坊さんがお経を唱えるのは日本と同じなんですが、ギターやトランペット、アコーディオンなどちょっとした楽団がきて音楽を奏でてくれるんです。最後には街中を練り歩いたり、明るく賑やかに故人をおくり出すという感じです。霊界をイメージしたような紙で作った人形などがたくさん供えられるのも変わっているなと思いました。

麗麗 霊界に行っても寂しくないように、霊界に持って行きたいものを紙でつくって燃やすんです。故人が好きだったもの、豪華な家やテレビだったり、いろんなものを紙でつくります。

清志 日本では核家族化が進んでいますが、マレーシアでは一昔前の「日本の家族」があるなと思いました。大家族で歓迎してくれ、現地のいろんな観光地に連れて行ってもらえたのは良い思い出になっています。

——他にマレーシアで印象に残っていることは?

清志 教育に力が入っていますね。姪っ子や甥っ子がいるのですが、子供たちは小学1年生から、旅行鞄のような車輪つきの大きな鞄をコロコロとひいて学校に通っています。中には教科書がびっしりです。日本の「ゆとり教育」とは雲泥の差だと思います。

麗麗 私が子供のころも教科書は多かったですが、今の子はさらに増えている印象です。

奥様は女子会でリフレッシュ

——日本での暮らしは?

清志 結婚したのは2000年ですから15年になります。子供は小学生の男の子が2人います。

——奥様の素晴らしいと思う点は?

清志 細かいことにこだわらない大らかな性格がいいですね。結婚生活がはじまった当初もまるで違和感なく昔から2人でいたような不思議とピタリとはまった雰囲気がありました。妻は7つ年下で、私は家庭を持つまではいろいろと苦労したので、妻がいてくれるだけでも感謝の気持ちが大きいです。

麗麗 夫はいつも優しいので喧嘩したことはないです。そもそも喧嘩できるほど日本語がうまくないんです。語彙が足りないというか、日本語では子供たちにも負けそうです。

——それでは、ストレスがたまるのでは?

麗麗 不自由なく話したい時は、日本にいるマレーシアの友人に電話します。しかも大きな声で。

清志 確かにテレビの音が聞こえなくなるほど大きな声で電話をしていますね。

麗麗 電話だけでなく、2カ月に一度ぐらいは渋谷とかで「女子会」をしています。関東の中国系の女性3〜4人が集まります。そこで夫のこと、子供のことなど思う存分話すので、リフレッシュするというか、ストレス発散にもなっていると思います。

——若いカップルに言いたいことは?

清志 最近は正社員になれず、経済的な問題から結婚を躊躇(ちゅうちょ)する若者が多いと聞きます。実は私も結婚当初は、給料から家賃を払うと生活費はわずかで、経済的に苦労しました。家にはテレビと冷蔵庫ぐらいしかなかった感じです。しかし、妻がいてくれたからこそより一層仕事に精がでますし、2人で力を合わせて家庭を守っていこうという思いさえがあれば、なんとかなるものです。聖書に「人はひとりでいるのは良くない」とある通り、2人の方がいいんです。未来を信じて踏み出してほしいと思います。