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親日・国際家庭インタビュー 〔10〕

山内一貴/ユピンさん

「違い」を楽しむ心のゆとりを

地震は怖いが雪は楽しい

日泰国旗

——ご結婚はいつですか?

一貴 妻がタイから日本にきたのは2011年11月で、翌年の4月から宮城県仙台市で家庭を持っています。

——東日本大震災後の大変な時期ですね。

ユピン 日本に来て一番驚いたのは、やはり地震でした。余震が続いていましたから。タイでは地震はほとんど経験しません。震災が起こった時はタイにいましたが、津波の様子はテレビで何度も放映されていて、息が詰まるような思いで見ていました。すでに夫とは知り合っていましたから、日本にすぐ電話しましたが、連絡がついたのは1週間後ぐらいでした。夫の実家が石巻にあることも知っていましたから、お義父さん、お義母さんのことが本当に心配でした。

一貴 結婚当初は二人で住む家探しが大変でしたね。震災の影響で住宅が不足していましたから、物件が出るとあっという間になくなる状態でした。3か月ぐらい毎日のように探してなんとか今の家を確保しました。

——タイは南国ですから仙台の暮らしはちょっと寒いのでは?

ユピン 仙台は住みやすいと思います。北海道ほど寒くもなく、夏は東京ほど暑くもなくちょうどいいです。雪を見るのは逆に楽しいくらいです。

——ご主人はタイへは?

一貴 私は2回ほど行きました。妻の実家はバンコクから飛行機で1時間半、さらに車で1時間ほどかかる地方の街です。

——観光は?

一貴 タイは95%が仏教徒の国ですから、やはり寺院は素晴らしい。そのきらびやかさは圧巻ですね。

——印象に残っているのは?

一貴 私が見た範囲ですが、一般家庭ではあまりお湯のでるシャワーがなかったことですね。年中暑い気候ですからお湯が出なくても問題ないようです。妻の家は風通しがよいつくりになっていて扇風機があれば暑さもしのげる感じでした。もちろん、バンコクのような大都市やホテルはお湯も出るし、エアコンも効いていて日本とさほど変わらない印象です。ただ都市でも地方でも野良犬の多さにはびっくりしました。けっこう吠えられたりして、少し怖いですよ。

——風習で驚いたことは?

一貴 実は義父の葬儀でもタイへ行ったのですが、お墓に驚きました。もちろん一般的な普通のお墓もあるのですが、妻の町では位牌を寺院の壁や土台に埋め込むのです。一人ひとり埋め込んであって、その壁や土台にむかってお参りをするのです。

——奥様は、日本語はどうですか?

ユピン 日本に来た当時は学校に行ったりしていたのですが、すぐに子供が生まれたので、育児が大変であまり勉強できていません。

——家庭での言語は?

一貴 日本語、タイ語、英語の順ですね。妻が理解できる範囲は日本語で、タイ語は私が分かる部分で使うことがあります。それでも通じない内容は英語も使います。パソコンの翻訳ソフトも使っています。

——奥様はタイ料理などつくるのですか?

ユピン ここでは食材があまり手に入らないので、タイの友人から食材を融通してもらった時とか、たまにつくる程度ですね。

——日本料理は?

ユピン 日本料理もどきをつくっています(笑い)。

——奥様の素晴らしいところは?

一貴 いつも明るくおおらかですね。それに気持ちの切り替えが早いのです。何か問題があっても、後にひきずるようなことはなく、いつも元気で笑顔でいてくれるのはうれしいですね。

想像力を使ってコミュニケーション

——ご主人の素晴らしいところは?

ユピン 私の日本語はとてもつたないので、考えを上手に表現できないのですが、夫は想像力を広く働かせて、うまく私を理解してくれるのです。普通の家庭に比べてコミュニケーションをとるのに苦労が多いわけですが、それでも夫は家に帰ってくると、私のことや子供のことなど、何があったかよく聞いてくれます。根気づよく話を聞いてくれる夫にいつも感謝していますし、本当にやさしい人だなと思っています。

——若いカップルにアドバイスをお願いします。

一貴 国際カップルの場合はそもそも育った文化が違うのが大前提ですし、実際、二人でいるとなぜ妻がそう思うのか疑問に感じることが多々あります。そんな時は些細なことでもよく話を聞いて納得するようにしています。これは日本人同士でも同じことではないでしょうか。育った環境が違えば、考え方もいろいろです。私はなるべく固定観念をもたないようにして妻の話を聞いています。夫婦の意見が合うのは、それはそれで暮らしやすくて良いでしょうが、自分なりの見方に執着せず、意見の違うところに新たな興味をもっていく、あるいは違いを楽しむくらいの度量、心のゆとりを持つのが良いのではないでしょうか。