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親日・国際家庭インタビュー 〔12〕

ソグノヴィ・コッシィさん/安孫子歩さん

義父と共に涙し、こころ一つに

日貝甯国旗

——自己紹介を。

コッシィ 私の故郷は西アフリカのベナン共和国です。公用語はフランス語。1967年生まれで、5人兄妹の長男です。家族は伝統宗教を信じる立場でしたが、私は中学の頃からキリスト教の信仰を持つようになりました。大学で生物学、地学、化学を学びました。

——日本人の奥様との出会いは?

コッシィ 大学卒業後は韓国や日本、フィリピンで仕事をしていたこともあります。その後、ベナンに戻って英語の通訳や翻訳の仕事をしているときに知人の日本人の紹介で安孫子歩さんと出会いました。

——日本で仕事をすることの難しさは?

コッシィ レストランなどのキッチンで仕事をしています。外国人が仕事をするうえで難しいのは仕事を覚えるペースの問題です。言葉の問題もあるので、ゆっくり教えてもらえればいいのですが、外国人にとってはその説明のスピードについていくのが大変です。文化や慣習も違いますし、ときには上司のプレッシャーも結構感じました。早いペースで仕事を覚えることを要求されるのがきつかったですね。ただ、私は恵まれていて、私の勤め先の店長やマネージャーは親切で優しいかたでした。子供が生まれた時も家の事情を伝えたところ、自宅に近い店舗を紹介してくれたり、仕事の内容面でもいろいろと都合を付けてくれて本当に助かりました。

妻の料理を食べられず神に祈る

——文化の違いで困ったことは?

コッシィ 食生活が難しいですね。私はとろろが苦手です。ベナンは何でもゆでて食べます。フライにするとか、生では食べません。妻が作ってくれた食事が食べられなくて困ることがときどきありました。もちろん、妻の好意は分かるのですが、お腹が拒絶するのです。それで私は祈りました。「どうしたら私のことが分かってもらえるのか?」と。そして妻に「君は子供の頃から日本で育って日本の食生活に慣れているけれど、自分にとっては日本の食事は簡単じゃない。理解してほしい」と率直に話しました。今は刺身も食べられます。とろろはまだ駄目ですけど。(笑い)

 もう一つ、夫は夜、卵料理を食べないんですね。朝しか駄目だと言います。最初は葛藤しましたが、今は理解しています。

——他に日本の習慣で困ったことは?

コッシィ ベナンなら、若い夫婦に子供が増えたら、妹だとか、誰かが家事や子育てを手伝います。しかし日本では、両親はときどき手伝ってくださいますが、普段は夫婦と子供しかいませんから、ベナンの習慣を忘れて、何でも自分たちでしなければなりません。

 8年近く一緒に暮らして、夫のことが理解できないというより、やはり文化の違いがあるんだと実感します。でも、夫はとても努力してくれて、大抵のことは私に合わせてくれます。もちろん、時には意見が合わなくてぶつかることもあります。夫が正論でも価値観をストレートにぶつけてくることには日本人としてはちょっと困ることもありますね。

——幸せを感じるときは?

 ベナンに行った時、何もない夫の田舎に車に乗り合いながら訪問しました。国際結婚をしなければこのような場所に来ることもなかっただろうなとしみじみと思いながら、人生の不思議さと、わが家系にアフリカの血がつながったことに妙に感動を覚えました。また、私の山形の田舎に帰った時も、山奥の私の母校を黒人の夫とハーフの子供たちと一緒に訪ねながら、「ああ、なんかすごくドラマチックだなあ」と思い、感激しました。
 夫はとても真面目な人です。愛の表現もストレート。メールでも絵文字がたくさん付いた「I love you」のメッセージを送ってくれて、私の心が解かれていくのを感じました。とても尽くしてくれるので感謝しています。

コッシィ 結婚して子供が生まれて、何がなくとも家族があることがとても幸せだと感じています。妻が妊娠している時には、どうやって彼女をサポートするかいつも考えていました。ベナンなら妊婦を皆で世話しますが、日本では妊婦でも仕事や家事をします。だから、家に帰ったら妻にマッサージをしてあげました。経済的なやりくりも妻はよくやってくれます。感謝してもしきれません。この幸せは表現できないほどです。

結婚に反対だった父の変化

——国際結婚に対する家族の反応は?

コッシィ 最初は妻の両親には反対されました。特にお父さんが大反対していました。その反対を押し切って結婚したため、最初はうまく交流することができませんでした。
 長女が1歳の時に、お父さんがうちに来られて、初めて長女を抱っこしてくれました。抱っこして降ろそうとしても長女はお父さんから離れませんでした。するとお父さんが泣き始めて、私も泣きました。それ以来、お父さんが完全に変わりました。そして、年末には山形の実家を訪ねました。今では「いつでも来なさい」と言ってくれますし、毎週、電話で話したり、子供たちもスカイプで会話したりしています。

 実家の母は今ではコッシィさんを実の息子のように接してくれます。

——今後の抱負を。

コッシィ 国際カップルの中には日本で生活しながら苦労している家庭が少なからずいます。特に国際結婚を両親に理解してもらえていない場合もあります。私たちがそんな他の国際カップルをサポートし、そして日本社会で活躍できるようにしていきたいと願っています。